始まりの唄
□Prologue
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時は深夜
暗く薄気味悪い建物のてっぺんに立っているとても美しい人が1人
「イノセンス……ノア……反発し合う白と黒の存在。もうじき千年伯爵も動き出す。ノロノロしていられない」
月明かりに照らされキラキラと輝く深海の様な髪は風に揺られ絹糸の様にサラサラな長い髪を靡かせる
「ねぇ…何時になったら帰ってくるの?早く帰って来て"──"…」
ホー
彼女の肩に乗った白フクロウが鳴く
「そろそろ戻らなきゃね」
高い建物から飛び降りた彼女はスタッと軽い音を出して着地するその数分後に飛んでいたフクロウがヒラリと肩に乗る
「エルまた上にいたのか」
「うん。クロスはマナを見てなくていいの?」
突然聞こえた声にびっくりすることなく返答を返す
燃えるような赤い髪の男は表情を変えることなく帽子に乗った黄色く丸いモノを鷲掴みしエルの顔に向かって投げる
「いっ……ちょっと!ティムを投げないの!可哀想じゃない」
ティムを抱えてよしよしと撫でる
「今日から暫くココには帰ってこないつもりだ」
びっくりした顔をして動きを止めるエル
「クロスが出てく宣言するなんて……明日は槍でも降ってくるんじゃない?」
「かもな」
「まぁ死なないように頑張ってね」
エルがティムをクロスの胸に押し付けるとクロスはティムを脇に抱える
「あぁ。今回の任務はアクマ製造工場破壊だ」
「まぁた厄介な任務を押し付けられたんだ。まだ"アイツ"が帰ってきてない今下手に動けないでしょ?」
「そうだな。ま、マナを見てりゃそのうち出てくるさ。暫くの別れだが俺を恋しがるんじゃねーぞ」
「はっ誰があんたなんかを恋しがるもんですか」
踵を返しまたねと小さく呟き本部の中へ戻ったエルを見届けたクロスは暗闇の中に消えていった
白い髪の新人