short story
□質問
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『ねぇグレイ、もしも私が居なくなったらどうする?』
「…は?」
ー質問ー
目の前に居る彼女は一体何を言っているのだろう。そんなにも可愛い笑顔で俺のことを見上げながら、なんて酷い質問をするのだろう。
心配性で寂しがり屋で、そんな性格がこの質問に結び付いたのだろうか。
「そんなの…考えられねぇよ」
『でも、もしかしたら居なくなるかもしれないよ?』
「訳わかんねぇ…んな事ありえねぇし」
『どうしてそう言えるのよ』
「それは…」
口ごもったのは根拠がないからじゃねぇ。根拠となることをこれから作り上げなきゃいけねぇからだ。
俺の顔を真剣にのぞき込むアカネの唇に一瞬触れるだけのキスを落とすと、驚いているその表情ごと包み込むように、力強く抱き締めた。
『グ、グレイ…?』
「俺の嫁さんになりゃあ…死ぬまで一緒に居れんじゃねぇの?」
『!』
「どこに行くにもずっと一緒にいてやるよ、どう?」
『…うんっ』
頷いたアカネは俺の背中に腕を回し、ぎゅうっとしがみついてきた。
ほらな、これでもう、お前が俺の前から居なくなることなんて有り得なくなったろ?
心配性で寂しがり屋なお前を、1人になんて絶対しねぇよ。
だから、んな馬鹿な質問はもう二度としねーよーにな。
Fin
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