short story

□アイス
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「…」

『…』

「いやー本当なんつーか…」

『…』

「…毎度毎度すいません…」

『グレイのばかぁ』



ーアイスー



私の名前はアカネ。
目の前に居るのは彼氏のグレイ。
自分でいうのもなんだけど、私達は普段すごく仲がいい。
ただ、たまにこうしてグレイが謝る時がある。原因は彼の魔法。

「アカネ…」

『まぁ…いつもの事だし…いっか』

「いやー…気をつけるわマジで」

『ふふっ、いいのよ』

2人で並んでカップに入ったアイスコーヒーを飲む。
…そう、原因というはズバリこれ。元々はホットコーヒーを出したのに、グレイが“熱い”と感じて反射的に凍らせてしまったのだ。

『アイスも美味しいね』

「アカネが淹れてくれたからうまいんだよ」

『またそんな事言ってー』

「本当だよ」

『ありがとう』

いつだったか、スープが冷製になったことがあった。焼き芋はスイートポテトに。だけどそれはまだマシだったかな。なーんて、思い出せばキリがないけど。
でも、それもイイ思い出だよね。

『グレイ』

「ん?」

『なんか、グレイと一緒なら…私なんでもいいや』

「なんでもいい?」

『冷たいコーヒーもスープも、グレイと一緒なら…

「心がポカポカ…ってか?」

『もぉー!私が言おうと思ったのにー』

「ははは、いや、俺も同じ気持ちだからさ」

グレイがすぐ隣まで来て、そっと肩を抱いてくれる。また裸だなー。だけど…

『すごくあったかい…』

「俺も」

『私の事凍らせないでよ?』

「当たり前だろ。でも…」

心があったかい。触れている体もこの部屋の空気も。
そしてきっとこれからの2人の未来も。

「もし凍らせちまっても、すぐに俺があたためてやるよ」


すごく、あったかいよ。





Fin


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