short story

□はじめてだらけで
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アカネに出逢ってから俺は“はじめて”だらけで目まぐるしい。



ーはじめてだらけでー



仲間をただ1人の人として好きになったことも、その想いを伝えたことも。
そん時のドキドキも、繋いだ手のあたたかさも。

俺にとってははじめてで。
その全てはアカネとだった。



「アカネーアカネーアカネー」

『何〜ナツ?』

「アカネーアカネーっ」

『だからなんなのよぉ』

「へへ、ただ呼びたかっただけだ」

『またそれ〜?まったく…』

「にひひ」

どうしてなのか自分でもわかんねぇ。
わかんねぇけど“アカネ”って呼ぶのがすげー好きなんだよな。
たぶんそれはアカネの名前が“アカネ”だからで。
例えばアカネが“グレイ”っつー名前ならば俺は躊躇わずグレイと連呼するんだろう。

『もう…私の事からかってるの?』

「ちげーよ、アカネの事を愛してんだ」

『愛し、て…』

「ひひっ」

『んもぅ…』

そうやって顔を赤くするとこも、なんだかすげー好きなんだよな。

「アカネも俺を愛してるんだろ?」

『…残念ながらそうみたいだよ』

「残念ってなんだよー!」

『ふふっ』

「笑って誤魔化すんじゃねぇ」

『あっ…』

アカネの腕をぐっと引き寄せてほっぺに強くキスをしてやる。
それもすげー好きなんだよな。

『不意打ち禁止っ!』

「“残念ながら”っつーのも禁止っ!」

こうやって2人で顔を見合わせながら一緒に笑うのも大好きだ。

『ナツにはかなわないな』

「そりゃ、アカネよりは俺の方が強いぜ」

『ふふ、そういう意味じゃないよ』

「んー?じゃあなんだよー」

『おしえないよー』


俺はこれから先もこうして、アカネとたくさんの時間を過ごしたい。
“はじめて”を死ぬほど探したい。

アカネとなら、絶対たくさん見つかるはずなんだ。



Fin


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