short story
□運命のお相手
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カナのカードは当たると知ってる。…知ってるんだけど…それ、本当ですか?
ー運命のお相手ー
「アカネ、あんたの運命の人はこのギルドに居るね!」
『うへっ!?』
突然何を言い出すかと思いカナの方を見ると、さっきまで大切そうに抱えていた酒樽を床に置き、カードを見つめる姿があった。
『カード占い?』
「占いってモンじゃないよっ。これは魔力を使ってるから“予言”と言っても過言じゃないね!」
フフンっと髪をかき上げながら自信ありまくりの表情のカナ。
ふぅん…予言ねぇ…
「アカネ、あんた信じてないね?」
『へ?い、いや…』
「よーし!こうなったらとことん調べてやるよ」
新たなカードを取り出し、先程よりも本格的に占うカナ。
なんだか話しかけるタイミングを完全に失ってしまった私は、ただただその光景を見つめていた。
「んー…」
『…どうですか』
「んんー」
『…あのー』
「んー…あっ!!」
『秤ス!?』
急に叫び出すカナに驚き、一歩下がった私。その私の腕を引っ張り、ギルドの入り口を指差すカナ。
「いいかいアカネ。次、ギルドに入ってきたヤツがあんたの運命の相手だよ」
『…へー…』
「ちょっ…いい加減信じなよ!」
『はいはい。誰が入ってくるかなー』
「ったく、ちゃんと見てなよ」
半信半疑の私は、未だに腕を離してくれないカナによってこの場から離れられない状況にある。
ここまで言うのなら…次にギルドに入ってくる人物を一目確認してみようじゃないの。
そう思ったその時、
「おっ」
『ん?』
ギルドの入り口に人影が。その人物は…
『…グレイ?』
「へー!グレイか!」
『ふぅん』
「あんたまだ信じてないね?いいよ、これから実感していく事になるだろうさ」
『グレイが…運命の…』
なんだかカナの言葉が頭の中で繰り返し聞こえ、目の前から歩いてくるグレイが妙に気になる。
『まぁ…グレイは良いヤツだしね、うん』
「徐々に進展していくといいねー楽しみだわこりゃ。」
『うん…ん?なんかよくわかんないや』
「人は意識すると自分の気持ちに気付くもんさ」
『自分の気持ち?』
「そう。好きなのかな〜?って思った時にはもう、その人の事が気になってしょうがなくなる」
『気になって…ねぇ』
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