short story

□sweet dream
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ちゅっと軽いリップ音のあと
隣にどさりと寝転ぶ。

グレイはいつも行為の最後を、優しいキスで締めくくってくれる。







ーsweet dreamー





「ふぅ」

『お疲れ様』

「ぷ。なんだそりゃ」

『いや…今日も…』

「激しかったから…ねぎらい?」

『…まぁそんなとこ。』

「ふっ…可愛いやつ」



火照った身体をクールダウンさせる為…と理由を付けて、私はいつものようにグレイに抱き付く。

そんな私を腕枕して、背中をポンポンと軽く叩くグレイ。

その一連の動作を私たちは一体何度繰り返して来たのだろう。



『おちつく…』

「うん、俺も」

『グレイに包まれてる時が一番幸せなんだ』

「俺もアカネを抱きしめてる時が一番幸せさ」



グレイの胸から顔を上げると、
それに気付いて目線を合わせてくれる。

そして鼻と鼻の頭がくっついた時。
それは2人の“キスしよう”のサイン。

目を細めて微笑むグレイに、私の胸はいちいちトキメく。

ちゅっ、ちゅっとついばむように何度も繰り返しキスをして、 
そしてまた目線が合えば微笑んで。

こんなに幸せな時間を、私たちは一体何度繰り返して来たのだろう。



「アカネ、もう寝ろよ」

『グレイが寝たら寝る』

「俺はアカネが寝てから寝るんだよ」

『それじゃあ眠れないじゃんー』

「だから先に寝ろって。」

『んー…もっとグレイを見ていたいよ』



ぐずる私をあやすかのように
グレイはまた背中をポンポンと叩く。

そのリズムはあまりにも心地よくて。抱きしめられてる身体は、まるでグレイと一つに溶け合っているかのようで。



「アカネ、じゃあ約束しよう」

『ん?』

「アカネが先に眠ったら、夢の中へ会いに行くよ」




“だからほら、もう寝るぞ”
そう言ってまたポンポンと叩く。



『グレ、イ…』

「ん?」

『…おやす…み』




眠りにつくその瞬間、唇が温かくなったのを感じた。

そして少しかすれた声で、確かに聞こえたの。
“おやすみ”って。







good night honey sweet dream.






今夜はどんな夢になるの?
グレイと一緒なら、きっときっと甘い夢ね。








Fin


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