SHORT STORY
□リンゴの生産地
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─魔界アヴィス─
今日は珍しく、ゼロスとルナしか部屋にはいなかった。
「…ねぇゼロス」
「なんだ」
「アタシ、ずぅーっと気になってることがあるんだけどぉ」
「だから、なんだ」
「リンゴちゃんの出生のことよ」
「…は?」
ゼロスは唐突な話に、思わず聞き返した。
「なぜ今さら奴の出生のことを?」
「だってほら、アタシとあんたとカイルのことはよぉーく知ってるけど、リンゴちゃんのことってよく分かってないなぁと思ったのよ」
「それは…確かにそうだな」
「てことでぇ、リンゴちゃんの出生について色々考えるわよぉ!」
ルナは楽しげに言う。
「おい、俺もなのか」
「あったり前じゃない。こんなの一人でやったってつまらないでしょ?」
「………」
「だからアタシの暇潰しに協力しなさい!ていうか、どうせあんたも暇なんだから」
「……仕方ない…」
渋々了承したゼロス。
こうして二人のアベルの出生談義が始まった。