DESTINYー絆の紡ぐ物語ー

□第7章 海賊
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 三人はアクティアの村を出てから、そう遠くないところにあるリートレ港にやって来た。

多くの船が出入りする、大きな港だ。

アクティアの村で獲れた魚介類も、この港から様々な国へ送られる。

三人はここから船に乗って、別の大陸へ行こうとしていた。

乗船券を買い、船に乗り込む。

「よぉーし、出航だ!!」

威勢のいい船員の声が響くと、船はゆっくりと動き出す。

船は波を立てて、風を帆に受けて海を進んでいく。

三人は海を眺めていた。

「うわぁぁ!気持ちいいな!」

爽やかな海風を頬に感じながら、マルスが声を上げる。

「自分で漕がなくていい船は、楽なもんだな」

アイクはカナンに小舟を漕がされたことを思い出しながら、船からの景色を眺める。

その傍らで、パルがカモメたちと会話している。

「海は綺麗……だから、好きだよ……」

そう言うパルに対して、カモメたちは鳴き声で返事をする。

「パルってなんで動物と話せるんだろ……。オレも喋ってみたいな」

羨ましげにマルスはその様子を見ている。

「マルスもお話したいの……?じゃあ、私が通訳する……」

「ホント?やった!」

パルの提案にマルスは喜ぶ。

「じゃあ、オレはマルス!よろしく!」

マルスがそうカモメに挨拶する。

カモメたちが何かをパルに伝える。

「君は明るくて、人が良さそうだね……」

カモメたちの言葉をパルが通訳する。

「お、わりと好感触?」

「でも…声でかいから、話しかけるな……だって……」

「……へ?」

思わぬカモメからの返答に、マルスは唖然とする。

「我々の言ってる意味もわからんとは…バカな人間もいたものだ…って言ってる…」

追い打ちをかけるようにカモメからの言葉が続く。

「オレまだ一言しか喋ってないんですけど!」

「うるさいと言ったのが聞こえなかったか…。口を閉じねば…その口をつついて食ってしまうぞ…だって…」

マルスの顔が青ざめていく。

「……アイク…カモメ怖い…」

「…………よしよし」

怯えた顔をしているマルスを慰めてやるアイクであった。

「マルス…冗談だよ…。カモメさん、マルスは太陽みたいで…大好きだって……」

ほんの少し笑いながら、パルが本当のカモメたちの言葉を伝える。

「ホントに……?」

「うん…今度は…本当だよ…」

マルスはパルの言葉で、滲んできた涙を拭った。
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