黄金色に輝く‐現在篇‐

□第捌話
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蘭が隣の部屋に行ってから数十分の時間が立った
鞄を見るにはやけに時間がかかり、土方と近藤は向こうでは何をしているんだろうという疑問が膨らんだ
すると襖が静かに開いた


「あ、あの…お待たせしました」

「蘭。やけに時間が…ぶーーーっ!!」


蘭の姿を見た瞬間、土方は口に含んでいたお茶を縁側の方へと吹いた
近藤に至っては鼻血が噴き出ていた


「お、おま…っ!なんて恰好してんだ///」


松平が持ってきたものは蘭専用の隊服であった
上着とベストは近藤達と同じだが首元はスカーフではなく、真っ白い大きなリボン
下はセミショートでそこから生えている白い華奢な脚に白のオーバーニーソックスを履いていた
そしてその短いスカートの下から見える白い太ももが引き締める靴下でむにっと出ている
そのせいで土方と近藤は反応したのだ


「私、こういった短いものは初めてなのでよくわからないのですが…
やはりどこかおかしいところありますか?」

「いやいや、蘭ちゃんとっても似合ってるよォ
オジサン、ホントにこのまま持ち帰りたいわ、いやホントに」

「ふふ、有難きお言葉です
それに私なんかのためにわざわざ作って頂き、本当に感謝します」


私はパパ様に向き合って深くお辞儀をした


「可愛い蘭ちゃんのためだ
そんなこと当たり前だよ」

「で、とっつぁん、これただあんたが着せたかっただけだろ」

「あぁ?何言ってんだ、トシよォ
オジサンはな、可愛い蘭ちゃんのためだって言ってんでしょうが
それ以外なんにもありましぇーん」

「じゃあこのスカートはなんだ!短すぎだろが!!今すぐ直してこい」

「トシ、落ち着いて!!これは世間でいう絶対領域だよ?!めちゃくちゃ可愛いしこのままにしようよ!!」

「近藤さん、アンタが落ち着け」


兄上の両肩を掴む近藤さんはとても鼻息が荒かった


(はぁ…これじゃあ女として隠してきた意味がねーじゃねぇかよ…
まぁ…それでもバレバレだったし、しゃあねぇか)


チラッと兄上は私の方を見て顔を赤くさせた
やはり気になるところがあるのでしょうか?
首を傾げると兄上はパッと目を逸らせ、ごほんっと咳払いをして「に、似合ってんぞ」と呟いた
その言葉に私は頬を緩ませた


「あ、それと蘭ちゃんに靴も用意してるから後で玄関で履いてみてちょ」

「ありがとうございます!後で見ますね」


それからパパ様は私と写真を撮って帰って行った


「はぁ、ったく…
とっつぁんは人の妹に色々しやがって」

「ねぇねぇ、トシ!俺も撮っていいかな?!ねぇ、いいかな?!」

「もう勝手にしてくれ…」


それから隊服のまま屯所内を歩き回っている蘭への視線はすごかった









「もうすぐ休憩時間に入りますし、このまま見回りがてらお散歩でも行きましょうか」


私は廊下でばったり会った総悟君に沢山褒められてかなりのご機嫌だった
ニコニコしながらサングラスを取りに部屋へと戻り、玄関へと足を運んだ
すると玄関にある靴箱の横に大きな黒い靴が置かれていた


「もしかしてこの靴でしょうか」


近づいて見てみるとそれは膝下まであるブーツで踵部分が少し先が尖ったヒールだった
履いてみると少しよろめくがカツンと響く音に私の心は一気に弾んだ

その後団子屋で会った銀さんが鼻血での第2の犠牲者になったのは数時間後の出来事であった
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