黄金色に輝く‐現在篇‐

□第漆話
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私は神楽ちゃんと公園から出て駄菓子屋へと向かう


「そういえばこの前、蘭姐がいきなり帰ったから私…寂しかったアル」

「ごめんね。お仕事が入っちゃったから急いで帰らないといけなかったの…
本当にごめんなさいね」


眉を下げて謝る私に神楽ちゃんは立ち止まり、顔を横に振った


「それなら仕方ないアル!蘭姐は悪くないヨ!」

「ありがとうね、神楽ちゃん」


ギュッと抱き付く神楽ちゃんに私は頬を緩ませながら頭を撫でた

本当に神楽ちゃんは優しい子ですね

なんか可愛い妹が出来たみたいで嬉しいです

お互い微笑みながら歩く姿は周りの人達も微笑ましく思った

そしてすぐに駄菓子屋に着き、神楽ちゃんは店の中を覗いた


「おばちゃーん。酢昆布おくれヨ」

「はいよ」

「神楽ちゃんって酢昆布が好きなの?」

「ウン。すっぱいのがクセになるヨ
そこが好きネ」

「へぇ〜そうなんだ
でも酢昆布なんて久しぶりだなぁ
私もよく食べてたよ」

「まじでか!蘭姐も酢昆布食べるアルか!」

「うん。食べるよ」


すると店のおばちゃんが酢昆布を数個手にして持ってきてくれた


「お金はっと…」


ごそごそとズボンのポケットを漁る神楽ちゃんを側に私は神楽ちゃんより先におばちゃんにお金を渡した


「!!蘭姐!お金は私が払うアル!」

「いいのいいの。神楽ちゃん、この前のこと許してくれたからそのお礼」

「まいど〜
神楽ちゃん、良いお姉さんだねぇ」

「うふふ、じゃあ神楽ちゃん早く戻ろうか
銀時さん達が待ってるからね」


神楽ちゃんの手を引っ張るが神楽ちゃんは俯いて黙ったままだ


「神楽ちゃんどうしたの?もしかしてどこか具合でも悪いの?!」


心配になった私は神楽ちゃんの目線に合して屈んだ

ふと顔を上げた神楽ちゃんの顔は照れたように頬をピンク色に染めていた


「私、優しいお姉ちゃんが出来たみたいで嬉しいアル
こんな風にお姉ちゃんと仲良くお出かけして買ってもらって…
憧れてたアル。だから今蘭姐のこと、めっさ感謝してるヨ!」


ニコッと笑う神楽ちゃんに私の心はキュンとした


「私も可愛い妹が出来てとても嬉しいわ!だから神楽ちゃんと会えて良かったと思ってるの」


神楽ちゃんの白い手を両手でギュッと握り、胸に秘めた思いを語った

それを聞いた神楽ちゃんはパァアと顔を輝かせて私のの手を握り、手をつなぎながら歩き出した










それから神楽ちゃんと私は手をつないで歩いた歩道をまた歩き公園へ戻る

その途中に車道に走った一台の車が目に入った
酢昆布をしゃぶっている神楽ちゃんも気づいた


「!!定春!?」

「どうして定春くんが…!
それに…って神楽ちゃん?!」


私が言い切る前に神楽ちゃんは全速力で車を追っていった

私もこれはただことじゃないと思い、神楽ちゃんの後を追った

少しだけ距離が縮んだがやはり車と夜兎の速さには追いつけず、小さく神楽ちゃんの後姿が微かに見えた

すると神楽ちゃんの前を走っていた車は吹き飛び、池の中へと突っ込んでいった


「あらら…」


やっと神楽ちゃんの元へとたどり着くので荒くなった呼吸を落ち着かせながら沈んでいく車を茫然と見つめた


「蘭姐…っ!!う、う…ぅ」

「か、神楽ちゃん…?」


ガバッと抱き付いて私の服を握りしめる神楽ちゃんはポロポロと涙を流していた

最初は困惑したが神楽ちゃんが泣いている理由に気づき、よしよしとあやす様に背中を撫でた


「私…また、同じこと繰り返してしまったヨ」


顔をうずめて泣く神楽ちゃんの姿に私は微かに上から聞こえる声に気づいた

私は見上げるとニコリと笑い、「ねぇ、神楽ちゃん」と呟いた


「うぇ…?」


神楽は自分の頬につたる涙を袖で拭いながら見上げるとそこには優しく微笑みながら神楽を見つめる蘭の姿があった


「定春くんは本当に幸せだと思ってるよ
こんな素敵で優しくて可愛い女の子の側にいてくれて」

「…蘭姐…?何言ってるアルか…」

「そうだぜ、お嬢さん」

「!」


神楽ちゃんはバッと私より上にある木の枝を見上げるとそこには定春くんと銀時さんが座っていた


「何がそんなに悲しいんだィ」


その瞬間撫でようとした銀時さんの手が定春くんに噛まれ悲鳴を上げた


「銀ちゃん!定春!」


ぴょんっと地に降り立った定春くんに神楽ちゃんは名前を呼びながら駆け寄り抱き付いた

だが定春くんは神楽ちゃんの腕を噛んでいる


「よかった!ホントよかったヨ!!
でも銀ちゃん。飼うの反対してたのになんで」


定春くんに頭を齧られながら枝の上に座っている銀時さんを見上げた

銀時さんは身軽に飛び降りて銀色の頭を掻きながら歩き出した


「俺ァ、しらねーよ
面倒見んならてめーで見な
オメーの給料からそいつのエサ代、キッチリ引いとくからな」

「…アリガト、銀ちゃん
給料なんてもらったことないけど」


銀時さんのぶっきらぼうな優しさに気づいて感謝する神楽ちゃんに私は微笑ましく思った
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