黄金色に輝く‐現在篇‐

□第参話
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「零季です」


客間の前まで着て、襖をポスポスと叩いた

すると中から「入れ」という声が聞こえた

私は「失礼いたします」と襖をあけると兄上と総悟君はお互い向き合いながら座っていた


「ちゃんと着れたみてぇだな」


兄上は隊服姿の私を見るとスカーフ以外はちゃんと着れているなと思った


「はい
ですが…これがわからなくて…」


私は申し訳なさそうな顔をしながらポケットからスカーフを出した


「どれ、貸してみろ」

「申し訳ありませんがお願いします」


私は兄上に渡すと兄上はここに座れと言った

言われた通りに兄上の前まで行き、正座をして座った


(うぉ…やっぱちけぇ///)


自分で言っときながら兄上は近くなった私の顔が直視できず、少しだけ目を逸らした

すると視界に入った総悟君は口パクで「ムッツリヘタレ土方」といった

それに少し青筋を立てたが総悟君の口パクに気づいていない私をずっと前に居させるのも気が持たないと思った兄上はさっさと済ませることにした

慣れた手つきで首に巻くスカーフを私は目を輝かせながら見つめた

すごいです!さすが兄上!とても慣れていらっしゃります!


「よし、これでいいだろ」


ふぅと息をつく兄上に私はお辞儀をした


「手間を取らせてしまい、申し訳ありませんでした」

「いや、気にするな
また今度やり方、教えるからな」

「はい、ありがとうございます!
土方副長」

「…は?」

「え?」


なんか驚いていらっしゃいます?


「今、お前、土方副長って呼んだのか?」

「なんか蘭は自分は後輩だから俺たちのことはいつも通り呼ばないみたいでさァ
ま、俺は命令でそれをやめさせましたがね」

「なんだと?!じゃあ俺のことも副長なんて…その」


兄上は少し顔を逸らして口ごもった

私は首を傾げながら待っていると目だけこっちを見た


「俺もいつも通り…呼べ」


あれ?兄上までですか?

なんか結局兄上も近藤さんと総悟君と同じく、いつも通りになっちゃいましたね


「わかりました、兄上」


私はとりあえず言われた通りにいつもの呼び方にした

そんな二人のやりとりに総悟君はうざそうに見つめた


(あー土方にバズーカ撃ちてー
でも今は側に蘭が居るから撃てねぇでさァ
とりあえずこの話を終わらせまさァ)
「で?今日はどこで張り込みをするんですかィ?」

「あぁ、その話だが…」


私は引き下がり総悟君の横に並んだ

兄上は懐からタバコを出し、火をつけ吸った


「張り込みするのは今、テロ騒ぎが起きている戌威星の大使館だ
調査をしたところ、最近あいつが出現しているらしい
だから今回、大使館が見える建物で張り込みだ」


戌威星の大使館…
確か大江戸新聞に載ってましたね

私は大江戸新聞に載っていたテロ騒ぎを思い出した

…テロってなんでしょうか


「あの、質問があるのですが」

「なんだ」

「テロってなんでしょうか?」


あまりにも常識のことを聞かれた土方と沖田は驚いてしまった


「…テロっつーのは簡単に言えば爆弾を使って建物とかを壊す行為をする集団のことだ」

「そんな悪いことをしているのですか?!
それは許せません!」


私は勢い良い立ち上がりメラメラと瞳が燃えていた

私も兄上達とこの江戸を守ります!


「兄上!総悟君!
私、精一杯頑張ります!」


ビシッと立ち、真剣な眼差しをしていた私に兄上達は凛とした侍に見えた
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