黄金色に輝く‐現在篇‐

□第拾壱話
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「えっ、姫様が家出?」

「あぁ、それで俺達は今日駆り出されたってわけだ
あーにしても暑い…」

私と兄上は今街中の自動販売機の前にたっていた
兄上は肩に上着をのせながら汗だくの顔はいかにも暑いと現れている
そんな兄上はガタンという音を立てながら出てきたコーヒーを取り出した
因みに私は今日は休みを頂いているので制服姿ではない

「つーかなんで俺達の制服ってこんなカッチリしてんだ?
世の中の連中はどんどん薄着になってきてるってのに
おまけにこのクソ暑いのに人探したァよ」

「やはり私も人探しのお手伝いします
暑い中、皆様がお仕事をしてるのに私だけ休むだなんて…」

「いや、気にすんな
それに近藤さんがこんな暑い中、お前を幕府の命令でも働かすなんて駄目だって言ってたしよ
もし熱中症でお前が倒れたら心配だからな」

ポンっと私の頭を撫でて少しだけ微笑む兄上に私は「ありがとうございます」と言った

「では、もしかしたら街のどこかで姫様を見かける可能性があるかもしれませんので
なにか写真などはありませんか?」

「んじゃ、これ渡しとくわ」

そう言って兄上は制服のポケットから出した一枚の写真を渡してきた

「この方が…」

その写真にはとても煌びやかな着物を着て頭には豪華な簪で髪の毛を纏めた少女が写っていた
あれ…とても悲しそうなお顔をしてらっしゃるような…
私はじっとその写真を見つめていると兄上が「どうした?」と声をかけてきた

「あ、いえ、なんでもありません
では、私はそろそろ行ってきますね
兄上たちもお仕事頑張ってください」

「おう、熱中症には気を付けろよ」

手を振る兄上に返事をして私は後にした









兄上と別れた私は街中を歩いていた
買いたいものも無事に買えましたし、この後はどうしましょう
うーんと考えた後、姫様を探すことにした
この辺りは歩き回りましたし、歌舞伎町に行ってみましょうか
そう思い、歌舞伎町に行くと一通りに見知った後ろ姿を見つけた

「あ、神楽ちゃんに定春クーン!」

名前を呼ぶと足を止めて振り返った

「あ!蘭姐!!」

定春クンに乗っていた神楽ちゃんはぴょんっと降りて私のところに駆け寄ってきた

「久しぶりね、神楽ちゃん
花見以来かしら?」

「そうアル!だから蘭姐に全然会えなくて寂しかったヨ」

「ごめんね、あの後仕事がとても溜まっていたから会いに行くことができなかったの
だから私も神楽ちゃん達に会えなくてとても寂しかったわ」

その後はおしゃべりをしながら歩いているとふと神楽ちゃんが立ち止まった

「神楽ちゃん、どうしたの?」

「またあいつらアル」

「あいつら?」

神楽ちゃんの見ている方を見てみるとそこには公園があり、遊具などがあった
その遊具であるブランコには女の子が座っており、男の子が二人いた

「ちょっと行ってくるヨ!
定春もついてくるアル」

神楽ちゃんの言葉に定春クンもわんっと鳴いて公園の中へと入っていった
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