黄金色に輝く‐現在篇‐

□第捌話
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「愛だァ?夢だァ?
若い時分に必要なのはそんな甘っちょろいもんじゃねーよ」


そう呟く銀時さんはキリッとした顔で片手に持っているいちご牛乳を持ち上げた


「そう…カルシウム
カルシウムさえとっときゃ全てうまくいくんだよ
受験戦争、親との確執、気になるあの娘
とりあえずカルシウムとっときゃ全てうまく…」

「いくわけねーだろ!!
幾らカルシウムとってたってなァ、車にはねられりゃ骨も折れるわ!!」

「まぁまぁ、新八君落ち着いてください」


いちご牛乳をごくごくと飲む銀時さんに新八君は切れて、その怒りを宥める私は只今、万事屋で定春が仲間入り?をした日から数日後に骨折をした新八君が入院している病院に来ていた


「俺もはねられたけどピンピンしてんじゃねーか
毎日コイツ、飲んでるおかげだよ」

「ふふっ、確かにカルシウムは大切ですよね
でも本当に新八君も銀時さんも元気そうで安心しました」

「蘭さん、忙しいのに僕なんかのためにお見舞いに来てくれて本当にありがとうございます」

「いえいえ、そんなことないですよ」

「そーだぞ、ぱっつぁん
蘭は忙しいのにお前がカルシウムとらなかったからだよー?
俺みたいになればこーんな可愛い娘もゲットできるんだぜ」

「?」


そう言ってなぜか銀時さんは私の肩に腕を回して引き寄せた


「いちご牛乳しか飲めないくせにその上、一欠けらもゲットできてねーのになにエラそーなんだよ!!」

「んだとコラァァ!コーヒー牛乳も飲めるからもうゲット寸前なんですぅ!!」

「やかましーわ!!
他の患者さんの迷惑なんだよ!!
今まさにデッドオアアライブをさまよう患者さんだっていんだよ!ボケが!!」

「あ…スンマセン」


大声で言い合う二人に年配の看護師さんが怒鳴った
皆さん、病院なのに少し声が大きいのですが…
今一番大人しくしている神楽ちゃんにお利口さんだねと頭を撫でた
その時ふと、病室に置いてある時計を見るとお昼休憩の終わる時間までに迫っていた


「あのすみませんが休憩時間が終わりそうなので帰りますね
それにあまり長居はいけませんし…」

「あーもうそんな時間か
気ィつけて帰れよ〜」

「蘭姐!また今度会ったときは遊ぼうアル!」

「はい!
それでは失礼します」


手を振る万事屋に手を振って病室を後にした











それから私は屯所にたどり着き、休憩時間の終了時間と共に兄上こと私の部屋で書類などの整理を始めた


「この書類は…」


まだまだ慣れない書類と睨めっこをしていると後ろに誰かいることに気づいた
振り向いてみるとそこには兄上が立っていた


「あ、兄上でしたか」

「わかんねぇなら別に聞いてもいいんだぞ」

「いえ、頼っていてはいつまでも仕事ができるようになりません」

「そうか。そんで仕事中に悪いんだが今とっつぁんが来てるんだ
ちょっと来てくれねぇか?」

「はい、わかりました」


私は立ち上がって兄上についていくと客間の前に立った
客間には近藤さんとパパ様が座っていて私の姿を目にするとパパ様は勢いよく立ち上がった


「よォ。蘭ちゃん久しぶりィ!」

「お久しぶりでございます、パパ様」

「ちょっと待て、パパ様ってなんだ」


兄上は私とパパ様の会話に割って入ってきた


「蘭ちゃんはもう娘みたいなもんなんだよ
だからオジサン、蘭ちゃんにパパって呼んでほしいんだよ」

「なに、人の妹に呼ばせてんだよ
しかもそっちのパパじゃねーだろ、絶対」

「そうだぜ、とっつぁん
それに蘭ちゃんのお父さんはこの俺だ!」

「いや、あんたも違うから」


兄上は呆れた顔をしながら「それで」と話を切り出した


「とっつぁんは蘭に何の用があるんだ」

「おぉそうそう、コレコレ
オジサン、今日、蘭ちゃんのために持ってきたんだよ」


パパ様は側に置いてある少し大きな鞄をパンパンと叩いた


「パパ様、この中には何が入っているのですか?」

「それは隣の部屋で見てくれや」

「わかりました、それでは少し失礼いたします」


私はパパ様から鞄を受け取り、襖で仕切られている隣の部屋へと入った


「とっつぁん、なんで別の部屋じゃないといけないんだ?」

「まぁ、楽しみにして待っとけ」


ニヤッと笑う松平に近藤と土方は首を傾げるしかなかった
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