黄金色に輝く‐現在篇‐

□第肆話
1ページ/5ページ

私は今、悩んでいた


「うーん…」


どうしましょう…

池田屋での初仕事から帰ってきた私は縁側で顎に手を当てながら悩んでいた

その理由は自分のことを知る銀髪の男のこと

そのことを考えていると頭の中には銀髪の男のことでいっぱいなった

どうして自分の名前を知っているのかとか、なんであんな表情をしたのか、と色んな疑問に頭を悩ませた


「銀さん、ですか…」


銀髪の男と一緒に居た少年と少女が呼んでいた名前をポツリと呟いてみた

だがどうしても思い出せない

あの反応は絶対私と会ったことがあるはずです…

もう少し話してみたかったです…

どうやったら会えるでしょうか


「…オイ。オイ!蘭!!」

「Σうひゃあっ?!
あ…兄上でしたか」

「ずっと呼んでたのに反応しないなんて珍しいな
悩み事でもあんのか?」


気が付くと後ろには兄上が立っていた

考えることに夢中になりすぎて聞こえていなかったみたいだ

兄上は私の隣に座り、タバコを銜えた


「はい。少し考え事を…」

「そういや、池田屋から帰ってきた時から
様子が変とは思っていたが…
何かあったのか?」


俯きがら答える私の表情を伺いながら兄上は私を見つめた


「池田屋に居た銀色の髪をした男のことなんです」

「あぁ、あのムカつく野郎か」

「実はあの人に名前を呼ばれたんです
あの人が持っていた木刀でサングラスを取られた時に蘭″って…」

「はぁ…もうばれちまったのかよ…」


兄上は片手で顔を覆ってため息をついた

ばれたのは私がまだ未熟だった証ですよね

兄上を失望させないようにもっと頑張らないと!

また新しく目標を作り、ふんすと鼻を鳴らす蘭を横目で土方は「それで」と言った


「つーか、なんで野郎はお前のこと知ってんだ?
まだ江戸に来てから三日しかたってねぇのによ
野郎とは会ったことあんのか?」


私は顔を横に振った


「え、会ったことないのか
じゃあ、なんで…」

「それが私にもわからないんです
どうしても思い出せなくて…
なので私、あの人に会ってお話をしてみたいんです!」

私は会いたいという思いを兄上にぶつけた

そんな思いに兄上はしゃあねぇと思いながら口から煙を吐いた


「本当はダメなんだが…
今、そいつらは大江戸警察署の取調室にいる
多分三日間ぐらいは居るはずだ
だから明日、会ってこい
言っとくが今回は特別だからな」

「いいのですか…?」

「本当はお前を行かせたくねぇがお前の悩みだ…
兄として解決させたてぇ」

「ありがとうございます!!」


ギュッと兄上に抱き付く私に兄上は戸惑いつつも頭を撫でた

だが兄上は心の中で悩んでいた

もしかしたらあの男が本当に攘夷志士だとしたら自分の妹が切腹になるかもしれないと


(そんなことは絶対させねぇ…
なんとしてでも蘭は俺が守る)


その決意を決めながら兄上も抱きしめた
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ