食と友と…愛と?

□第四日目 午後編
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あれからカズマンに保健室へと連れていかれた俺は今廊下を歩いていた
因みにまごぺーととぅないは教室に残っている

『ねぇ、カズマーン
俺別にこれぐらいだいじょぶだよ』

「何言ってるの!
そのまま放っていたらばい菌が入って酷くなる可能性があるんだよ」

『はは、カズマンは心配性だな』

「心配性じゃなくて僕は保健委員だからね
というかさっきからそのカズマンって何?」

そっかーカズマンは保健委員なのか
うん、雰囲気的に似合ってるかも

『数馬君のあだ名、それがカズマン
因みに孫兵君がまごぺーで藤内君がとぅない』

「ふふっ、そんな呼び方するの咲哉君ぐらいだね」

『だろーねぇ
てか教室から出てから思ってたけどさ
俺の手、離した方がいいと思うケド』

「ダーメ!離したら咲哉君、逃げるんでしょ?」

『いや、そうじゃなくて』

俺はカズマンに引っ張られているのでピタッと止まるとカズマンは「わっ」と声を漏らしながらも止まった

『さっきから通り過ぎる生徒がすげぇ見てるよ』

「へっ?」

カズマンはチラッと周りを伺うと近くにいた男子達はひそひそしながら俺達を見ていた
それを知ったカズマンはカァーっと顔を赤くして慌てて俺の手を放して距離を取った

「あ、ご、ごめんね?!ぼ、ぼ、僕のせいで…」

『わーカズマンの顔、真っ赤ー
カズマンってばかわいいな』

「ふへ?!な、ななななな、何言ってるの?!
もう茶化さないでよ!!
ほら早く行くよ!!」

『へいへい』

別にほんとのこと言っただけなんだけどなぁ
後ろからカズマンに押されながらもうすぐたどり着く保健室へとまた足を動かした










保健室にたどり着いた俺とカズマンは「失礼します」と言って中に入った
すると微かに薬の独特な香りが鼻をかすめた
なんか病院に来たみたいな感じがするな
部屋の中はどこにでもあるような保健室と変わらないが一箇所だけ目を引く物があった
わお、骨格標本だ
てか普通、理科室にあるんじゃないっけ
カズマンは中にいた生徒と知り合いなのか話しているので俺は骨格標本をじっと見つめた
するとガタガタっと音が聞こえた

「Σうお?!大丈夫か伊作?!
っておーい?伊作?」

「………」

「い、伊作先輩?」

どうしたんだろと思って見てみると心配そうに声をかけるカズマンと男子生徒がいた
そして椅子から落ちたのか床にペタンと座った茶髪の男子生徒がなぜか俺の方を見てポカンとしていた
もちろん俺の方を見てるのでバチッと目が合うとその人はハッと我に返った

「き、君、この前の朝に僕を穴から出してくれた子だよね?!」

『へ?え、えーと…』

いきなり手を掴まれた俺が次にポカンとしているともう一人いた男子が止めに入った
あ、この人達、高等部の三年生じゃん

「伊作、本当にどうした
不運で椅子から落ちたのかと思えば急に…
それにこいつ、戸惑ってるぞ」

「あ、ご、ごめんね?!」

『あー、いや、大丈夫です』

「というかさっきのは不運じゃなくて普通に驚いただけだよ!!」

高等部の先輩が俺の方へと指を指して話すと茶髪の先輩は慌てて手を放した
うーん、俺といつ会ったっけ…?
ぼんやりとする俺に茶髪の先輩は「あ!君、怪我してるじゃないか!!」と声を上げると
カズマンが「先ほど僕が話したのですが…」と呟く声が聞こえた
カズマン、ドンマイ



あれから俺はカズマンに手当をしてもらい、隣で茶髪の先輩は高等部の先輩を手当てしている
良く見たらこの先輩、殴られた跡とかあるな
この先輩って不良なのかな

「あ、そういえば自己紹介がまだだったね
僕は高等部の三年は組の善法寺伊作
因みに保健委員会の委員長だから今は保健の新野先生の代わりに居るんだ」

「ま、不運委員会って呼ばれてて伊作は不運大魔王ていうあだ名があるけどな」

「もう!留三郎ってば!!」

はーそんな呼び名が…
ということはカズマンも不運なのか…カズマン、ドンマイ!
なんて思っていることがわかったのかカズマンの手当が少し痛くなったような気がする

「あ、俺は伊作と同じくは組の食満留三郎だ
そして用具委員会の委員長でもある」

「因みに留はつり目で不良っぽく見えるけどこの怪我は友達とのただの喧嘩だから安心してね」

「伊作!!俺はあいつを友達だと認めた覚えはないぞ!!!」

「さっきのお返しだよ」

この先輩達、仲良しなんだなぁとしみじみ思っていると善法寺先輩が「あとあの骨格標本はコーちゃんっていうんだ」と指を指しながら話した
まさかのお名前があるとは…

『それじゃあ次は俺の自己紹介ですね
俺は数日前に大川学園に転校してきた中等部の三年い組の花宮咲哉といいます』

「それと同じい組の伊賀崎孫兵と同室らしいですよ」

「へーお前、転校生だったのか」と呟く食満先輩に頷いていると「あの、咲哉」と善法寺先輩に呼ばれた

「さっきのことなんだけど僕のこと覚えてないかな?
少し前に一度だけ君と会ったことがあるんだよ」

『あ、さっき思いだしたんですがもしかしてこの前の朝の時に落とし穴に落ちてたの先輩だったんですか?』

「うん!そうそう!
やっぱり咲哉だったんだね
ちゃんとお礼を言いたかったんだけど僕がボケっとしてたせいで言えなくて…」

『そんなの気にしなくてもいいですのに』

「でも助けてくれたおかげで助かったよ
ありがとう」

善法寺先輩の笑顔眩しい…
保健委員会に所属してる生徒は皆こんな感じなのかなと想像していると
食満先輩の男らしいごつごつとした掌が俺の頭にポンっと乗った

「俺が居ない間に伊作が世話になったみたいだな
俺からの礼だ、受け取れ」

そう言って食満先輩のポケットからにゅっと俺の前に出てきたのはアヒルの顔をした棒付きキャンディだった
それを見た俺は釘づけになった

『うわああ!ありがとうございます!!』

「お、おう
喜んでくれたなら嬉しいよ」

(咲哉の目がすごい輝いてる…)

(可愛いなコイツ…)

「良かったね、咲哉君」

『うん!』

善法寺先輩からも頭を撫でられて俺はキャンディに夢中で気づかなかったが
その時3人から小さい子がはしゃぐのを見守るような目で見られていたのだ
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