食と友と…愛と?

□第四日目 午前編
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「咲哉ー!起きなさーい
遅刻するわよ〜」

『…はーい』

いつもの母の言葉に起こされ、俺はぼーとしながら体を起こした

『ねみぃ…』

大きな欠伸をしながらずるずると布団から出て自分の部屋を出た
俺の部屋は二階にあるのでリビングへと向かうために階段を下りた
すると良い匂いしたものが微かに漂ってきた

『おはよ〜…』

「おはよう、咲哉
さ、顔洗ってきて早く食べなさい」

『あーい』

リビングへと繋がる廊下を歩いてドアを開けるとテーブルに朝食を並べる母がいた
側には父がもう座って朝食を食べている
俺も早く食べたい…
ぐぅとなるお腹を抑えながら洗面所へと行き、顔を洗って再び、リビングへと戻った

『お腹空いた〜
いただきまーす』

良い匂いに我慢して俺は手を合わせた
因みに今日の朝食は定番のような和食の朝ごはんだ
遅刻になりそうな時間でもゆっくりと味わって食べる俺の隣に母が座った

「そういえば咲哉は今日からだったわよね?」

「あーそうか
そういえば今日からだったな」

『んー?何がー?』

主旨が抜けていながら話す母と前の椅子に座っている父と話している内容がわからず
俺はなんかあったけと考えながら味噌汁を啜った
あー味噌汁美味しい

「もう忘れたの?咲哉が過ごす寮のことよ
今日から過ごすのよ?」

『あーそれか〜』

そういや今日からだったな
伊賀崎君のお蛇様見るの楽しみだな〜

「咲哉の過ごす部屋は元から一人、過ごしているらしいがその子とは何か話したりしたのか?」

『んー…挨拶はしたかな?』

「えっ、それって大丈夫なの?
もっと仲良くなっといた方がいいんじゃないの?」

「母さん、それは大丈夫だと思うよ
同じ部屋に過ごしてたら嫌でも仲良くなれると思うし咲哉ならきっといけるさ」

「そうね、咲哉ならきっと仲良くなれるわよね」

心配顔からニコニコ顔になった母にニコッと笑う父に
どこからそんな確信が来るんだと思いながら俺は漬物を口に入れた

その後の話は今日から過ごす部屋に俺の荷物は放課後に運ぶことになり布団は今日中に届くらしいので
それを聞いた俺はとりあえず今日の放課後の予定を
忘れないようにと思いながら食べ終わった食器を片付けて大川学園へ行く準備をした

『それじゃあ行ってきまぁす』










昨日とは別のコンビニに寄って登校した俺は何事もなく学園の門をくぐった
が、その後に俺はまたもや足元の感触が無くなった
…デジャヴ?
昨日はここらへんに落ちたのは高等部の三年生だったけど次は俺かよ…
流石に昼休みではなく登校中なのでここから出ないといけないので立ち上がって制服に着いた土を払った


「だーいせぇこー」

『…やっぱこれは綾部先輩の落とし穴でしたか…』

丸く見える空にひょこっと顔を出したのはピースをしている綾部先輩だった
相変わらず無表情なので何を考えてるのかよくわからない

「おはよ〜、咲哉〜
あとこれは落とし穴じゃなくて落下星5号だよーん」

『はぁ、落下星5号ですか…』

名前まで付けるなんてほんとに好きなんだなぁとしみじみ思った
好きなのはいいが巻き込まないでほしいデス、センパイ…

「ねぇ咲哉、早く出ないと遅刻するよー?」

『…綾部先輩、すみませんがここから出るの手伝ってくれませんか?』

実は頑張って手を伸ばせば届くのだが一人で出れるかはわからないぐらいの高さなのだ
もし綾部先輩が引っ張ってくれたら出れることができるのだが
如何せん綾部先輩には失礼だが何を考えているのかわからないので助けてくれるのかも不安だ
俺からの助けの言葉にジッと見つめる先輩は「じゃあ」と呟いた

「僕のことを下の名前で呼んだら出してあげる」

『…は?』

そんな事でいいのか?ていうかどんだけ俺に下で呼ばれたいんだろうか…
ポカンとする俺に綾部先輩はまたもやジッと見つめてきた

『…喜八郎先輩』

「咲哉はほんとーにお利口さんだねぇ」

表情は相変わらず無表情だが俺が先輩の名前を呟いた後、どこか嬉しそうだった
そんな綾部先輩基喜八郎先輩の伸びてきた手を掴むと上へと引っ張られた
読めなくてわからない先輩だけど、この先輩は多分良い先輩だ
なぜそう思ったのかは自分でもわからないが穴から出てきた俺は先輩の穴に落ちるのも悪くないなと思ってしまった
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