食と友と…愛と?

□第三日目
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『いってきまぁす』

大川学園に転校してから3日目
まだ寮ではなく家からの登校の俺は朝のHPに間に合うか間に合わないかぐらいのギリギリな時間に家を出た
少し歩いていくと広い道に出て登校中の大川生がちらほら歩いていた
速足で歩いている生徒や俺のようにのんびり登校している生徒もいる

『ん〜これぐらいなら間に合うかな』

登校中の生徒を見て判断した俺は道の途中にあるコンビニへと寄った
そしてコンビニで買ったミルクティーとパンを3つと色んなお菓子が入ったビニール袋を持って大川学園へと向かった










大川学園の門が見えてくると生徒達が門をどんどんと潜っていくのが見えた
門の側には数人の先生がたっている
あ、あの先生がいる
俺は見かけた先生のところへと歩いて行くとその先生は俺に気づいて名前を呼んだ

「おはよう、始業式の日以来だね
そして時間がギリギリだからもう少し早く登校しなさい」

『おはようございまーす
そうですね、一昨日ぶりですね
あの時はお世話になりました
そして登校のことは善処します』

ペコッとお辞儀をすると先生は「気にしなくていいよ。あとちゃんと来なさいね」と言ってくれた
嗚呼、先生の優しい笑顔を見てるとほんと心に刺さる(最後のは聞こえてないことにする)…だって先生の名前が思い出せないんだよね…
俺はこれ以上話しているとボロが出そうなので「それでは」と言って歩き出した
すると後ろで「土井先生!おはようございまーす!!!」という元気よく挨拶する声と
「お前ら!またこんなギリギリな時間に登校して!!」という怒りの声が聞こえた
誰か知らないけど先生の名前を教えてくれてありがとね
すると一瞬だけ誰かの視線を受けたが俺は気にせず校舎へと向かった

あー…にしてもお腹空いてきた…早く食べたいな〜
なんて思っていると門から校舎への道の途中で大きな穴がぽっかりとあいていた
うわっ、誰だよ、こんな道の真ん中に穴あけた奴
しかし周りの生徒はなぜか気にもせず避けて歩いて行った
え?なぜに皆気にしてないの??気にしてんのって俺だけ??
そう思いながらも俺は中を覗きながら歩くと声が聞こえた
微かに助けてという声が聞こえる
もしかして落ちちゃったのかな?
あーでもめんどくさいし、早く行ってパン食べたいし…
あれこれ考えた俺は流石に困っている人を放っておくのもダメだと思い、とりあえず中を覗いて声をかけてみた

『だいじょーぶですかー?』

「あ、急いでると思うのに引き留めてごめんよ
申し訳ないけどここから出るの、手伝ってもらえないかい?」

俺の声に気付いて上を向いた人は高等部の3年生だった
しかもこれまた土井先生のような茶髪のイケメンさんだ

『全然俺は大丈夫ですけど力があんまりないんで気を付けてくださいね』

手を伸ばすと3年の先輩は本当に申し訳なさそうな顔して「ありがとう」と掴んだ

『よっ、と』

「ふぅ、本当にすまない
助かった、よ…」

『いえ、先輩は謝らなくてもいいですよ
…って、先輩?どうしたんですか?』

穴から出てきた先輩は俺を見た瞬間、口をポカンと開けて固まってしまった

「へ?!あ、いや…その…」

先輩は我に返ったが俺はお腹が空いたことを思い出して校舎のほうへと体を向けた

『すみませんが先輩
俺、教室に行きたいので失礼しますね』

後ろから先輩の声が聞こえたが俺はすみませんと謝りながら急いで校舎の玄関へと入っていった
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