短編

□7.5…記憶U
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ージェット機内で、赤井さんと向かい合う。
お互い無言で、窓の外を眺める。

「優花、大丈夫…?」

そう言いながら、ジョディさんがコーヒーの入ったカップを渡してくれる。

「あ、ありがとうございます。
もう、大丈夫です」

カップを受け取り、笑顔で頷いてみせる。
すると、そう…とジョディさんは答え、自分の席に戻っていった。

事件解決後の私の様子は、誰が見ても異常だったらしい。
ジョディさんはそのことを気にして、私に声をかけてくれたようだ。

でも、今は赤井さんのおかげで、随分楽になっていた。
気丈に振舞っていたのではなく、本当に大丈夫だった。

…ただ、ジャックのことが心配だっただけで

「…赤井さん…」

「…ん?」

「ジャック、どうなるんですかね…」

「……」

反応はない。
私はジョディさんがくれたコーヒーを飲む。
…錯覚だろうが、いつもより苦い気がした。

「…あいつなら、大丈夫だろう。
しっかりしていて、頭のいい子だからな」

そう言いながら、赤井さんもジョディさんに貰ったコーヒーに口をつける。

「…新しい家族と、うまくやっていけますかね…」

「…大丈夫だ。
強い子だ、逆風にも決して逃げはしないさ」

その言葉に、はっとする。

「…そう、ですよね」

ジョディさんに貰ったコーヒーを、もう一口飲む。
夜中に抜け出し、父親と相対するような子だ。
あの子の持つ比類なき強さは、私もよく知っている。
きっと、逆風にも立ち向かっていくだろう。

そう思い、再びカップに口をつける。
…もう、苦いとは感じなかった。

「逃げはしない、か…」

本日22:00の予定を思い出す。

ジャックが頑張るのだ。
私も、頑張らなければいけない。

そう思い、頬を叩いて気を引き締める。




























そんな私を、赤井さんが見ていたとは気づかずに。
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