運命のデスゲーム

□第一章
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 「アレン、ヴィーナス。こっち」

 そう言って手招きするのは、俺の幼馴染みであり、初恋の相手であるルカーナ・リリー。彼女は男だらけのここらの地域では珍しい女の子。少し長めの茶色の髪に、穏やかな黒い目。誰もが見とれるような美少女だった。

 「ルカ、一体どこに行くんだ?」

 彼はヴィーナス・モルジア。彼もまた俺の幼馴染みで親友だ。――恋のライバルでもある。ギリギリ結べるような長さのこげ茶の髪を後ろで一つに縛っていて、凛々しい目。ルカと並んでてお似合いな美少年である・・・。そんな俺は癖っ毛のある短い黒髪に普通の黒目。ヴィーナスとは比べ物にならないほどの凡人だ。
 ルカはふふと笑みを浮かべて答える。

 「着いてからのお楽しみだよ。もうちょっとだから、頑張って」

 再び歩き出したルカの後ろをヴィーナスと俺は無言で追った。事の発端は、ほんの数十分前――ルカのとある一言から始まった。

 「二人に見せたいものがあるんだ」

 俺とヴィーナスは顔を見合わせ「見せたいもの?」と声をそろえて言った。

 「うん。ついてきて」

 そう言って後ろを振り向いたルカに、何も考えずついて行ってしまったのだ。今ではそれを少々後悔している。ルカの歩くスピードが速く、数十分で結構な距離を来ている。俺はもうぜエゼエで、それでもルカとヴィーナスだけは真顔でただ黙々と歩いている。元から運動神経のいい二人に運動神経の悪い俺。神様はなんで俺だけこんな・・・・・・。まぁそれは考えると悲しくなるだけだからやめておこう、と思ったのでそれ以降は考えず、必死に二人の後を追った。
 
 
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