華鬼‐終焉と希望の華‐
□第一章 奇跡の華
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相手は奏(かなで)の息子の秋(しゅう)のようだ。
「そいつより力も能力も上の俺に譲らないのが悪い!」
そう言って刹那の後ろにいる小柄な子供に詰め寄ろうとする。
色素の薄い髪をした子供は咲(さき)の子供の真琴(まこと)らしい。
刹那は後ろにいる子供を守るように立ち威圧する。
「なら、貴方は私の言う事を聞くべきだわ。私は貴方より遥かに力も能力も上よ」
そう言うなり瞳を黄金色に染める。
秋(しゅう)はそれに怯え泣き出してしまった。
刹那の後ろにいる真琴(まこと)もカタカタと震えている。
それは子供である彼らには怖いだろう。
大人であり彼女達より遥かに長生きしている鬼達ですら恐怖心を抱くのだから。
苦笑をもらしながら子供達に近づきなだめる。
「刹那様、そのように威圧しないでください。秋様も悪気があった訳ではありません」
そう言うと刹那はバツが悪そうな顔をして瞳を閉じると元の美しい紫色に戻る。
秋の方を向き瞳を伏せて謝った。
「ごめんなさい」
渡瀬は刹那の頭を撫でると秋のほうをむき嗜めるように話す。
「秋様もそのように力や能力で順番を決めるなどいけないことです。子供は子供らしくといつも言っているでしょう?」
そう言うと秋はムッとした顔をして言い返した。
「だって、奏が鬼は能力で上下関係が決まるって言ってた」
その言葉に渡瀬はため息をつくと言い聞かせるように話す。
「いいですか秋様?それは大人になってからの話です。幼いうちからそのような事を言うものではありません」
それでも、更に秋が言い訳をしようとすると秋と真琴の父親でありこの屋敷の主である忠尚のだみ声が響いた。