華鬼‐終焉と希望の華‐
□序章
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微かに微笑み女はむすめを男に渡した。それから、男は外尾忠尚に娘を託した。女児が生まれたことを忠尚と渡瀬は驚きはしたものの心よく迎えてくれると言ってくれた。
「その子を頼む」
男は頭を下げると帰ろうとする。
「この娘の名はなんと言う?」
忠尚の問に男はふりかえると微笑を浮かべて
「刹那。短い時間を大切に生きるように、愛した人や物との時間を大切に生きるように、そう願ってつけた名だ」
男の言葉に渡瀬と忠尚は
「良い名ですね」
「きっとこの娘はいい花嫁になるだろう」
と男に言った。
そして、男は屋敷を後にした。
それが、お互い最後の会話になるとも知らずに―――