生贄の花嫁U

□あらそって
1ページ/1ページ

「ら、ライトくんっ!やめて…っ!」

「え〜なんで?いいじゃない。んふ♪」

「だからってそんな服なんて着れないよ!」

「似合うと思ったんだけどなぁ…メイドさん。」

「ライトくん?メイド服っていうのはこんなにスカートは短くないし、胸元も開いてないんだよ?」

ライトくんが手に持っている服。

それは恐ろしく丈の短いスカートに、胸元の大きく開いたメイド服だった。

「それは偏見だよビッチちゃん!今どきはミニスカメイドさんがいる時代なんだよ!?」

「それは多分某聖地だけだと思う。」

「それにこのご時世飛行機のCAさんまでミニスカなんだよ!?この世はミニスカなんだよ!」

「よくわからないご意見をありがとう!?」

そうなんだ…ついに空のメイドさんにまでミニスカを導入したのね。

大丈夫なんだろうか…日本…。

「だ〜か〜ら〜、ね?」

「いや、そんな流行には乗らないよ?」

確かにヒラヒラしたメイド服はかなり可愛いし、一度は着てみたいなぁ。なんて思える代物だと思う。

けどさすがにこれは無い。

「ねーねー。」

「だから、ダメ!」

服をぐいっと押し返した途端、ピリッと指先に痛みが走った。

不審に思い見てみると、プックリと膨らんだ血。

「え、え、え!?今どきのメイド服には針でも仕掛けられてるの…っ!?」

「えぇー?あ、ビッチちゃん、これじゃない?」

ライトくんが指差す方向を見ると、そこには金ボタン。

周りが少し尖っているデザインのようだ。

「ここから血の匂いがするからね。んふ♪」

「わ、分かるんだ…。」

まぁヴァンパイアだしね。

「それより〜。」

「ちょ、なんで押し倒したの…?」

この一瞬にしてライトくんは私をベッドへと押し倒した。

「ビッチちゃんが怪我するのが悪いんだよ?んふ♪」

「っ!!」

そう。
ライトくんはヴァンパイア。

ニヤリと少しだけ意地悪そうに微笑むと、怪我した指先を口にふくまれた。

指全体にライトくんの舌が絡むのが分かる。

「や、やめなさいっ!」

流石にいろんな意味で危機を感じた私は、指を引き抜こうとする。

けれども抜ける寸前で腕を掴まれた。

「そういうビッチちゃんも良いけど…。」

笑顔だった顔が一瞬にして凍りつく。

ただただ冷たいだけの眼差しを向けられる。

「今はうっとうしいな。」

いつもよりも低いトーンで罵られる。

これはライトくんが怒ってる証拠だ。

「ご、ごめん…なさい…。」

謝る私を愉しげに見ると、ライトくんはニッコリ笑って、口を開いた。

「お仕置き…だね?んふ。」

これは一つの合図。

長い、長い、夜の始まり。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ