生贄の花嫁U
□あらそって
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「ら、ライトくんっ!やめて…っ!」
「え〜なんで?いいじゃない。んふ♪」
「だからってそんな服なんて着れないよ!」
「似合うと思ったんだけどなぁ…メイドさん。」
「ライトくん?メイド服っていうのはこんなにスカートは短くないし、胸元も開いてないんだよ?」
ライトくんが手に持っている服。
それは恐ろしく丈の短いスカートに、胸元の大きく開いたメイド服だった。
「それは偏見だよビッチちゃん!今どきはミニスカメイドさんがいる時代なんだよ!?」
「それは多分某聖地だけだと思う。」
「それにこのご時世飛行機のCAさんまでミニスカなんだよ!?この世はミニスカなんだよ!」
「よくわからないご意見をありがとう!?」
そうなんだ…ついに空のメイドさんにまでミニスカを導入したのね。
大丈夫なんだろうか…日本…。
「だ〜か〜ら〜、ね?」
「いや、そんな流行には乗らないよ?」
確かにヒラヒラしたメイド服はかなり可愛いし、一度は着てみたいなぁ。なんて思える代物だと思う。
けどさすがにこれは無い。
「ねーねー。」
「だから、ダメ!」
服をぐいっと押し返した途端、ピリッと指先に痛みが走った。
不審に思い見てみると、プックリと膨らんだ血。
「え、え、え!?今どきのメイド服には針でも仕掛けられてるの…っ!?」
「えぇー?あ、ビッチちゃん、これじゃない?」
ライトくんが指差す方向を見ると、そこには金ボタン。
周りが少し尖っているデザインのようだ。
「ここから血の匂いがするからね。んふ♪」
「わ、分かるんだ…。」
まぁヴァンパイアだしね。
「それより〜。」
「ちょ、なんで押し倒したの…?」
この一瞬にしてライトくんは私をベッドへと押し倒した。
「ビッチちゃんが怪我するのが悪いんだよ?んふ♪」
「っ!!」
そう。
ライトくんはヴァンパイア。
ニヤリと少しだけ意地悪そうに微笑むと、怪我した指先を口にふくまれた。
指全体にライトくんの舌が絡むのが分かる。
「や、やめなさいっ!」
流石にいろんな意味で危機を感じた私は、指を引き抜こうとする。
けれども抜ける寸前で腕を掴まれた。
「そういうビッチちゃんも良いけど…。」
笑顔だった顔が一瞬にして凍りつく。
ただただ冷たいだけの眼差しを向けられる。
「今はうっとうしいな。」
いつもよりも低いトーンで罵られる。
これはライトくんが怒ってる証拠だ。
「ご、ごめん…なさい…。」
謝る私を愉しげに見ると、ライトくんはニッコリ笑って、口を開いた。
「お仕置き…だね?んふ。」
これは一つの合図。
長い、長い、夜の始まり。