忍たま乱太郎

□医療
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「姉ちゃーん!!!」

パタパタと駆ける足音が聞こえ、私はしゃがみ込んだ状態で背後を振り返った。それと共に突撃してきたのは、あの日あの時出会った幼子。名をきり丸。
彼は私の背中に張り付いたまま「ただいま! 姉ちゃん!」と声を上げると、にこにこと背中に頬ずりしてくる。可愛い子だな、と思いながら、私は彼を撫でて立ち上がった。

「おかえり、きり丸。忍術学校の方は順調?」

「順調も順調! てか話したいことたくさんあるんだ! はやく家ん中入ろうぜ! あ、今日の夕飯なに!?」

「今日は畑の野菜が幾つか収穫出来たから天ぷらかな。あとはお吸い物とご飯と……」

考えながらメニューを口にし、きり丸の手を取り共に家へ。若干広めのその家屋の中に踏み込み、少し待ってて、と夕食を作る。

出来た夕飯を共に食べつつ、雑談を幾つか。きり丸の通う忍術学園の話を聞きながら、クスクスと笑う。

そう、実はきり丸、今現在忍者を目指す学校に通っていた。学年は一年生。まだまだうら若きたまごである。

彼は休みになる度、こうして家に帰ってきては学園で起こったことを逐一報告してくれた。友達となにをした、バイトはあれをした、先輩たちに邪魔された、などなど。
私はそれを聞きながら、楽しそうでよかったと、いつも同じ言葉を返すのだ。

「姉ちゃんの話もするんだけどさ、皆興味津々なんだぜ! いつか会ってみたいって、乱太郎たちも言ってた」

「ふふ、それはそれは……私もぜひ会ってみたいな、その乱太郎くんたちとやらに」

言えば、複雑そうな顔をするきり丸。曰く、彼は私を皆に会わせることに抵抗があるようだ。なんでも惚れられたらどうするんだとか……。

「いや、姉ちゃんもいい歳だし結婚の一つや二つしてもいいと思うけどでもそれはなんか嫌というか……」

「安心しなさい。結婚の予定は無いからね」

「うーん、それはそれで複雑……」

「どういう意味かね」

「姉ちゃんには俺の姉ちゃんでいてほしいの! 知ってんだぜ、薬売りの仕事で口説かれてること!」

「あれはまあ、若気の至りだよ、きっと」

きり丸は不服そうな顔をした。頬をふくらませてむすくれる彼に、「お風呂入って来なさい」と告げて背中を押す。彼はぶつくさ言いながら風呂場へと向かった。

風呂に入って敷いた布団の中へと入る。
「一緒に寝る」ともぞもぞ布団の中に入ってきた彼を快く迎え入れ、二人で他愛ない話をした。
一人の時は寂しくないか。変な輩に狙われてないか。
問うてくる彼に大丈夫、を返す。

「私のことは心配せず、君は学業に専念しなさい。ね?」

「うん……」

頷いたきり丸は、そこでうとうとと船を漕ぎ、布団に突っ伏した。私はそんな彼に毛布をかけ、灯りを消して寝の体制に。一体何してるんだろうな、と思考しながら目を閉じた。
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