ブラコンshort
□あなたの寝顔守り隊っ!
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私には好きな人がいる。でも、その人は恋をしてはいけない人。
一般人の私なんか到底手が届かない彼。そう、彼の名は――――――朝倉風斗。
――――…
新しく始まった新学期。9月とは言ってもまだ暑さは残っていて、クーラーはやっぱりかかせない。
そして新学期といえば定番の席替えで、私は自分の運命を呪っていた。
まさかだった。こんな展開になるなんて。
昼休みだというのに、隣ですやすやと眠っている彼をチラッと見る。
どうして私の隣が、
「(朝倉風斗なんだっ…!)」
確かに好きだけど!好きだけどさ!でも私は見てるだけで充分だったんだよ!
臆病な私のことだ。近くにいたってなんの進展もできるはずがない。アイドルと一般人。
どうにも埋まらないこの溝は深い。あがいても無理だ。
だから、見てるだけで、応援してるだけで充分なのに。
神様は、私に意地悪すぎる。
風「んっ…。」
くぐもった声で小さく身じろぎをしてゆっくりとその目が開かれた。
二重のきれいな瞳が私を捉える。あまりの綺麗さに高鳴る胸。
彼の口が開かれたその第一声は、
風「アンタ…だれ?」
認知されてなかった私―――!うん、そうだよね!アイドルであるこの朝倉風斗様が一般人の私のことなんか認知するはずないもんね!
わかってはいだけど本人の口から聞くとショックだなぁ…。
風「ってかさっきまでアンタ隣じゃなかったよね?なんでここにいんの?」
「えっと…さっきの時間に席替えして、それで…。」
風「だからか。僕仕事忙しいから爆睡しちゃってたんだね。」
「そうだと思うけど…」
風「ねぇ、僕の寝顔みた?」
ドクッと胸が脈打つ。さっき見たのバレてたのかなっ!?でも目開いてなかったし…。
聞いてくるってことは見てたのかなぁ…。
でも、ここでうなずけるわけがない。頷いたら変人だって認めるわけになるじゃんか!
私はバレないように自然に首を横に振った。
「み、見てないよ!そんなことしてない!」
風「ホントに?」
「ほ、ほんとに!」
どもりまくりじゃんかバカー!!こんなんじゃ見てましたって言ってるようなものだ!
うぅ…でも、こんな風にまっすぐ見つめられたら…うそついてるのが申し訳なくなる…。