黒バスshort
□私のシナリオ
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―――いつからだろう。彼との間に不思議な空間が空くようになったのは。人1人分あけた隣に座る彼は私をいない物のようにして難しそうな本を読んでいる。まるで1人で過ごしてるみたいに。
「…征十郎。」
赤「なんだい?」
―――いつからだろう。彼が私の名前を呼ばなくなったのは。話しかけられることが少なくなると同時に名前で呼んでくれることもなくなった。私は、あなたの名前をこんなにも愛しく想うのに。
「話があるの。」
赤「なんだい?」
―――いつからだろう。その綺麗な赤と黄色のオッドアイの瞳に私を映さなくなったのは。気づいたらあなたの目を見ることも見つめ合うこともなくなってた。
「昨日の夜、どこかに行った?」
赤「…行ってないよ。」
―――いつからだろう。その形の美しい鎖骨に、私のじゃないキスマークが付くようになったのは。私が付けないのを知っていて見せびらかすように開いた彼のシャツ。あなたが私につけることはもうないのでしょう。
「本当に?」
赤「嘘をついても意味がないだろう?」
―――いつからだろう。あなたの口から出てくる言葉すべてが、嘘だと思ってしまうようになったのは。たくさん言葉をくれたけれど、今はどれが真実かわからないの。
「ねぇ、征十郎。」
赤「なんだい?」
―――いつからだろう。彼が私にキスをしてくれなくなったのは。誘導的な言葉で私を惑わせて、私からするように仕向けたあなたに玩具としか思われていないのですか?
「あのね…」
赤「うん」
―――いつからだろう。あなたが私を抱かなくなったのは。気がついたら私の隣にあなたは居なくて、何度も悲しい夜を過ごしたのは私だけ。あなたはそんな思いしていないでしょう?
想いを告げたのはどっちからだったっけ、なんてもう意味の無いことを考えてみる。覚えてはいないけどきっと私からだったんだろうな。あなたに誘惑されて。でも、返事をくれた時のあなたはもうここにはいない。それなら、私があなたのそばにいる理由もない。だから…あなたに、私から最後の提案するね。
「私たち別れましょう、赤司くん」
赤「………え…?」
彼の名字を呼ぶなんていつの頃以来だろう。付き合いたての頃だったからな、懐かしい。
珍しく赤司くんは目を見開いて驚いている。そんなに驚くことでもないのに。きっとそれは演技なのかな?私からこの言葉を引き出す為にそんな風な反応をするんでしょう?
「もうお互い限界だったんだよね。気づいてあげられなくてごめんなさい。だから…さようなら」
別れるときは最高の笑顔で。私はひどい人間だから、こうすることであなたが少しでも罪悪感を感じればいいと思った。私の小さなプライドを守るために、今にも溢れ出そうな涙をこぼさないように彼の家を出た。
…あぁ、彼に見られてしまった。一番見せたくなかった泣き顔を
(あれが演技がそうじゃないかなんて)
(誰か私に答えをくれてたら)
(想い踏みとどまっていたのかな)
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そのうち赤司くん目線書きます