その他

□苺色。
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「やっと干し終わったーっ!」



洗い終わった洗濯物が風にあおられて揺れている。燦々と降り注ぐ太陽がゆっくりと浅葱色の隊服を乾かしてくれることだろう。ふと縁側の方に目をやると、廊下の曲がり角から斉藤さんがこっちにやってくるのが見えて彼に近づいていく。



「朝餉ぶりですね、斉藤さん。」

一「あぁ名前。そうだな。」

「今日は天気もいいし、穏やかに1日過ごせるといいんですけどねーっ!斉藤さんも外に出て一緒にひなたぼっこしましょうよっ!」

一「ひ、ひなたぼっこか…。(だが名前と一緒というのなら楽しそうだ。)」



きっと斉藤さんはひなたぼっこが好きなんだろうな。どことなく表情がゆるんだ気がする。ちょっと可愛い、なんて言ってしまったら怒るだろうか。



「あ、引き止めてしまってしまってすみません。何か急ぎの用事でもありましたか?」

一「いや、そういうわけではないのだが…。名前、総司を見なかったか?」

「沖田さん、ですか?」



斉藤さんの口から出てきた名前にキョトンとしてしまった。そういえば沖田さん見てないな。朝餉終わってから一度も姿を見てないかも。



一「昼餉の支度の時間になっても勝手場に姿が見えなくてな。もしかしたら中庭で子供と遊んでいるのでは…と思ったのだが。予想が外れたようだ。」

「私は見てませんね。昼の巡察に行ってるとかは?」

一「今日は非番のはずだ。大体俺と総司は当番が同じだからな。」

「そうなんですか…。ってことはもしかしてすっぽかしたんですか沖田さん!?」

一「絶対というわけではないが否定は出来んな。」

「確かに…。」



普段の行いが行いだからすぐに否定はできない。でも当番忘れるような人ではないような気がするんだけどなぁ…。(自分で言っといてあれだけど。)
沖田さんがここにいないと分かると彼は小さくため息をついた。



一「…とりあえず俺だけで先に用意しておくとするか。総司にはその後で説教をくれてやろう。」

「えっ!?一人で用意するんですか!?」

一「ああ。」




一人でやるにはいくら何でも大変すぎる!幹部だけの分だけじゃなくて隊士の分まで用意しなくちゃ行けないのに負担が多い。でも、お手伝いしましょうなんて言ったらバッサリ断られそうだし…うーん…。



「あっ!!斉藤さん、私もご飯作りたいですっ!いえ、作らせてください!ねっ、ねっ?」

一「い、いや、名前が気を使わう必要はない。総司が悪いのだから手伝ってもらう訳には…」

「いいんです。私今ちょうど洗濯物干し終わって暇で!お仕事ないか探してた最中だったんですよーっ!」

一「さっきやっと終わったと叫んでいなかったか?」

「斉藤さんの気のせいですよ!そんなことある訳ないじゃないですかむしろ仕事くれた斉藤さんに感謝ですよーっ!」



キラッと光った斉藤さんの鋭い目に射抜かれそうになりながらも目をそらしてごまかした。ここで負けたら女が廃る。何としてでもご飯作ってやる!



「それに私が斉藤さんと一緒に作りたいんです。それが理由じゃだめですかっ?」

一「だっ、だめではないがっ…//(一緒と言う単語がまたもや聞けるとはっ…。)」

「あっ…もう一つ理由ありました!」

一「っ?」

「私のこと、名前で呼んでくれるようになったお礼ですからっ!」

一「っ………!!//」



ニコッと笑って勝手場へと先に歩いていく私には、このとき斉藤さんがどんな表情をしていたのかなんて知る由もない。



一「あんたという奴は…//(だからこそ深みに嵌まってしまうのだろうな。)」

「斉藤さーんっ?まだですかーっ?」

一「…今行く。」




(斉藤さん?顔赤いですけど…どうしました?)
(これはそのっ…ひなたぼっこの名残だ!)
(な、名残、ですかっ…?)
―――――――――――
初薄桜鬼夢っ!


 

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