シリーズ

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パチッと目が覚めると、ゆっくりと体を起こして目覚まし時計を手にする。表示されている時間を見てパチパチと瞬きを繰り返す。ただいまの時刻、
――――――――8時15分。





「…………………ああああああーーーーーーーーーっ!!!!!??」





その日一番の絶叫が周辺にこだました。



「なんでこんな時間なの!っていうか夕べ私目覚ましかけたよねなんで鳴ってないわけぇぇぇええっ!!??」



半狂乱+半パニックを引き起こした私はなんとか頭の中で今の状況を理解した。
今私がいるのは自分の部屋。そしてパジャマ姿でベッドにいる。そして遅刻するまで後……20分。



「やっばいぃぃぃっ!!!!」



そこからの私は光の早さで動いたと思う。急いで鞄の中に課題をつめ制服に着替えてぐちゃぐちゃの髪を直し部屋を後にした。
階段を下りていくと玄関には我が弟の姿がっ!!



「ちょっと伊吹っ!!どうして私のこと起こしてくれなかったのよっ!!」

伊「顔は見に行ったよ?だけど幸せそうに寝てたから起こすのかわいそうだなーって思ってさ。」

「ふざけんなぁぁ!そこは起こすべきところでしょうっ!それとも昨日唐揚げ強奪したことまだ根に持ってるわけっ!?」

伊「……別に、根に持ってない。」



持ってるんですね!まだくすぶってるんですね!あなたの眉間のしわがそれを表してるよ!心の狭い奴だなぁ…。



伊「狭くて悪かったね。ま、せいぜい遅刻しないように頑張ったら?」



ドヤ顔で家を出て行った伊吹。ムカつくっ…何としてでも間に合ってやるんだからなぁっ!
そして私が家を出たのは5分後だった。





「タイヤの空気入れとけばよかったぁぁ〜……!」



自転車のペダルをこぎこぎしながら前を見据える。私はまだついている。なぜなら家から学校まで全力でこげば10分で着くからだ!ギリギリ滑り込んでやるぅっ!



「それで今日の夕飯のハンバーグ半分奪ってやるんだからっ……!」

総司「誰が誰のハンバーグ奪うって?」

「私が伊吹のハンバー…って沖田先輩なんでこんなとこにっ!?」

総司「なんでって、そりゃあ登校してるんだからいるに決まってるでしょ。逆に名前ちゃんはどうしてこの時間にいるの?」


「目覚ましにかけ忘れたんですよっ!っていうかここに沖田先輩いるってことは確実に遅刻じゃないですかぁぁぁっ!!」

総司「失礼だなぁ名前ちゃんは。その言い方じゃまるで僕が毎日遅刻してるみたいじゃない」

「毎日遅刻してるでしょう!?間に合った沖田先輩なんて見たことありませんよ!」



ヘラヘラとした笑顔で毒づく先輩。校内ランキング上位の先輩はさすが貫禄がある。
そして今自転車を全力でこいでいる私の横を軽々としたフットワークで走っている。息一つ乱れてない。さすが剣道部員です、はい。



総司「僕だってたまには普通に登校するよ」

「それ逆じゃありません?遅刻するの当たり前じゃありませんからね!」

総司「まぁいっか。名前ちゃんに朝から会えたんだし♪」

「…本気にしちゃうとまずいんでやめてください。」



照れた顔を見せたくなくて俯きがちに沖田先輩を見ると、目があった瞬間ニヤリと笑った。誰か私の心臓取り外してください。バクバクうるさいんですけど!!



沖田「あれ名前ちゃん照れてるの?顔赤いよ〜?」

「あかっ、赤くなんてなってないですっ!ならないですっ!」

総司「本当かな〜?(笑)」

「あっ、あああれって平助くんじゃないですかっ!?」



このまま言い合ってたら絶対に口で勝てない気がした私は、正面を見ると平助くんに目標を変える。私の声に気づいたらしい平助くんが振り返ってニカッと満面の笑みを見せたあと、徐々にスピードを緩めて近くに来た。



総司「おはよう平助」

平助「おはよ総司!ってかなんでこの時間に名前がここにいんだよっ!?」

「挨拶してからでも別に良いじゃんそんなの!私にだけしてくれないなんてなんかショックなんだけどー!」

平助「悪かったよ名前おはようっ!」

「おはよーっ」

平助「だからなんでこの時間にお前が、」

「目覚ましかけ忘れてたみたい☆平助くんは?」

平助「ゲームやってたら時間やばくて慌てて家出たんだよ」

「この時間にいるから珍しいと思ったけどなんだそんなことか!」

総司「ねぇ2人とも僕には理由聞いてくれないの?」

「だって沖田先輩に聞いても毎日遅刻してるんだから意味ないじゃないですか!」

総司「……へぇ、そういうこというんだ。」


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