シリーズ

□02
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私の思考回路は完全にフリーズしていた。



「なんでここにっ……!」

瑛「ひどい顔がもっとひどいことになってるぞ。」

綺「…失礼だよ。」

ナ「ねぇボク達のこと説明してなかったの?」



非常に失礼なことを面と向かって言われたけど現実味がないから何も言い返せない。帝さんの問いかけはお姉ちゃんに向けられているようだ。私とHE★VENSを交互に見て軽くパニック状態のお姉ちゃん。私はゆっくりと口を開いてお姉ちゃんに聞いた。



「これはどういうこと?」



重みとかすかな怒りを含んだ声でそう言うとお姉ちゃんは申しわけなさそうな顔をして一言謝った。



春「ごめんなさいっ!」





――――……。




やっと思考回路が落ち着いてきた所で話を聞くことにした。(HE★VENSのみなさんに立ちっぱなしは悪いので粗末な椅子に座っていただきました。)ゆったりと足を組んで座る鳳さん、姿勢をまっすぐ正している皇さんに足の間に手をついて座る帝さん。キラキラオーラが放出されている…。私はお姉ちゃんに呼ばれて我に返った。



春「名前ちゃん?」

「あっ、ごめんごめん。」

春「じゃあ話すね。」

瑛「出来るだけ簡潔にな。俺は待たされるのが嫌いなんだ。」



イライラした鳳さんを待たせるのは悪いのでお姉ちゃんにささっと説明してもらった。
たまたま事務所に作った曲を持って行ったときに早乙女社長から、HE★VENSが新しい作曲家を募集しているのを聞いて、これはチャンスだとばかりに私が昔作った曲の中から一つを送ってしまったのだ。私の許可なく送られたその曲は一次選考を通り二次選考を通り最終選考で厳選な競技をした結果私の作った曲が選ばれた。そして私がHE★VENSの新曲を担当する作曲家になってしまったということらしい。…あまりに唐突な事すぎて頭がついていかない。中身の入っていない脳みそをフル回転させて理解した。



「とりあえず理解はしたけど…どうして勝手に送っちゃったの?」



さっきからチラチラと私の様子を伺うお姉ちゃんに、怒ってないことを目で伝えながら微笑んだ。するとホッとしたように気を緩めた。




春「名前ちゃんHE★VENSのみなさんと一緒に仕事するのが夢でしょう?アーティストさんが作曲家を募集するのは中々ないし、これで機会をつかんで欲しかったの。そう思ったらいても立ってもいられなくて…。」

「うん…ありがとう。」



お姉ちゃんが私を思ってくれる気持ちはよく分かった。こんなにいいお姉ちゃんを持った私は幸せ者。この話は絶対に受けるべきなんだろう。…でも、私は受ける気はない。受けてはいけないと思った。これはお姉ちゃんが応募したのであって自分で応募したわけじゃない。だからどの曲を選んだのか分からないし、はっきり言って自分に自信もない。それに、ないとは思うけど…お姉ちゃんの『妹』だから私が受かったのではと考えてしまった。お姉ちゃんは過去でST☆RSHとHE★VENSとの勝負に巻き込まれている。もしそこから派生して受かったのだとしたら…。そう考えてしまったら素直に承諾することは出来なくなってしまった。未熟な私が大物アイドルの、憧れの人の作曲家をやるなんて早すぎたのだ。



「HE★VENSのみなさん、今日はここまで来てくださってありがとうございます。しかし、私はこの話をお受けすることはできません。」



瑛・ナ「「……は?」」

綺「………!」

春「え、名前ちゃんっ?」



口をポカーンと開けて目をぱちくりさせている鳳さんと帝さん。口こそは開けていないものの目を見開いて私を見つめる皇さん。驚いた様子の春歌。みんな反応は様々だ。私は先を続けた。



「これは、私の意志で応募したわけではありません。お姉ちゃんが私のためを思って彼女が応募したものです。それに、大した経験も積んでいない私が皆さんの歌を作るには早すぎると思います。みなさんとお仕事のできる機会を設けていただいてありがたいです。ですが、私はこの話をお受けすることはで」瑛「きないと言うつもりじゃないだろうな?」




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