シリーズ

□01
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―――真っ白な、清潔感を嫌と言うほど強調させる部屋。ベッドの真向かいにある、色彩を放つその『画面』。
遠く離れた想い人に自分の事を伝えるために作られたその文明の危機からは絶え間なく音が出ている。
私を一瞬で魅了し、この世界に足を踏み入れる勇気をくれたアイドルグループ。
―――――『HE★VENS』。








「名前ちゃんっ!」



ガラッと横開きのドアが勢いよく開いたのを確認した瞬間、私の名前を呼ぶ声と共にギュッと抱きしめられる感触。彼女の髪がほっぺたに触れてほんの少しくすぐったい。また迷惑かけちゃったな、なんて思いながら肩を優しく掴んで私から離した。少し涙目でうるうるしている。



「全くもうーそんな泣きそうな顔しないでよ!私が泣かせたみたいじゃない」

「名前ちゃんが泣かせたんでしょうっ。私がどれだけ心配したかっ…」

「ごめんって〜。ただの貧血だから大丈夫!」

「全くもうっ…!」



心配かけないように笑いながら今にもこぼれそうな涙をパーカーの袖で拭いてあげる。かわいい顔がもったいないなぁ。でも泣かせたの私か。私を見てぷくっと頬を膨らませたお姉ちゃん。




「曲書いてるときはこまめに休憩を取るって約束したのに…」

「確かに約束したけどさ、春歌に言われてもあんまり説得力ないよね」

春「そっ、それはそうかもしれないけどっ…!」



意地悪くそういうと返す言葉が無いのか、むぐっと言葉を詰まらせてしまった。
私達は姉妹で、今すねた表情を浮かべているのは私のお姉ちゃんの春歌だ。彼女は今ST☆RISHというアイドルグループの作曲家をしている。…4つしか年が変わらないのに。そんな姉の影響からか、私も小さい頃から音楽が大好きだった。姉に教えてもらいながら、今は中学に通いながら作曲をしている。でも、私が音楽を好きな理由はもう一つある。それは―――。



春「そういえば名前ちゃんっ、大変なんですっ」

「何が?」

春「名前ちゃんの好きなHE★VENSが―――!」



お姉ちゃんが話してるのを遮って聞こえてきたのは、ドアがゆっくりと開く音。言うのを止めた彼女の後ろから出てきた人物は、ここに居るはずのない人達だった。



「…どう、して…!」




小さくつぶやいた言葉が空気に溶ける。見開いた目をそこからお姉ちゃんに向けると、申しわけなさそうな顔をしていた。どうしてここにっ…



「お前がこいつの妹か。」

「へぇ〜!思ってたより幼くないっ?」

「……確かに。」



ここに来たのは、――――『HE★VENS』の皆さんだった。



01 出会い
(これが吉と出るのか凶と出るのかは)
(まだ少し先のお話)
――――――――――――
つい始まりましたHE★VENSのシリーズ!
 

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