1週間で読み切れる本

□月
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『「………」』

互いに無言

目の前にいたのは紫と紺色の不思議な格好をした男の人
顔はなんか隠されてて見えない

なんか

『かっこいい…』

私が声を発した瞬間
男の人はソファから立ち上がり私の手首を掴んで壁にをしつけた

『いっ…』

握られている手首がギリギリとなっている
痛い、痛い、痛い

「ここはどこだ、お前は何のために俺をここに連れてきた」

顔が隠されているが視線がマジだ

握られている手首が悲鳴を上げる

『ここはっ…日本ですけど!』

日本というと男の人は日本というのがわからないのか言葉を発しない

『それに!私は貴方のことを知らない!!ここは私の家です、あなたこそ何なんですか?!』

「お前はホントにな〜んにも知らねぇんだな?」

質問の答えにはなってないが下手に何か言ったら殺されそうな雰囲気だから何も言わず首を縦にふった

「なんだヨ、わりぃことしちまったなァ」

すると手の拘束がなくなりそのまま尻餅をついてしまった

『あ…ひっ、ぐすっ』

安心して思わず涙がこぼれた

「おいおい!なんで泣いちまうんだヨォ!?」

男の人はだいぶ焦ってるけど…

『だって!疲れて帰ってきたら知らない人いるし、なんか怖かったし…そりゃ泣きますよ!』

いや、こうして泣いてる間も怖いんだけどね






ポン



頭の上に感じる重さと温もり

顔を上げると男の人が私の頭を撫でていた

「あー、その、悪かったナ」

後ろにある人形がなんか言ってるがどうでもよかった


この人…悪い人じゃない?


「俺なんか知らねーけど、こっちに来ちまってみたいなんだヨォ…帰るまでの間ここに居させちゃもらえねぇカ?」


『いい、ですよ』

まさかそっちから言ってくると思わなかった

私が行くとこないならうちにいてもいいですよ

と言って、んじゃ…みたいな展開かと思ってのに

『あのっ…』

「ん?なんだ?嬢ちゃん」

振り向く男の人は仮面をつけているけどやっぱりかっこよくて


『ベッド、あっちにあるので寝るんだったら使ってください』

言えた!

そう言うと男の人はニヤァと笑って私を


担いだ


『え?』

「寝るんだったら一緒に寝ようゼ、嬢ちゃんのベッドなんだろ?」

な ん だ と


『いやいやいやいや!!私男の人と手つないだこともないのに一緒に寝るとかレベル高すぎですよ?!』

断ってるのだが一向に聞いてくれない

「いーじゃねぇか!別に襲おうとか思ってねぇからよ」

それなら…

『いや、それならいいのか?』

てか私の言葉多分聞いてないよね

あっちの部屋って言ったのにいろんな部屋のドア開けてるし

「お、あったあった」

ベッドを見つけると私をベッドに放り投げた

『ぬおっ!』

ベッドに落下するとスプリングがきしんだ

「んじゃ寝るか」

寝るかと言っているのに仮面を外そうとしない

それどころか私をずっと見ている

『あの…寝ないんですか?』

恐る恐る聞いてみると

「嬢ちゃんが寝てくれねーとこれ外せねーの」

そう言ってコンコンと仮面を叩く

『じゃあ着替えてもいいですか?』

まだ普段着のままだ
パジャマに着替えたい

「おー別にいいぜ、ここは嬢ちゃん家だしなぁ」

ベッドを出て床に降りると机の上に木の人形が置かれていた

私のじゃないからあの男の人のだろう

パジャマを持って廊下に出る

さすがに男の人の前で着替えれるほどタフじゃないです

着替え終わり中に入ると

「お、着替え終わった、みたい…だな」

めっちゃ歯切れが悪い

『あの、何かありますか?』

聞いてみるが男の人は額の部分に手を当てため息をついた

「いや、なんでもねぇよ」

すこし顔が赤い気がするが気のせいだろう
だってほとんど見えないし

『んじゃ、おやすみなさいです』

そう言って布団に潜り込むとあっさり睡魔が襲ってきた

そしてそのまま意識は飛んでいった


「…こっちの女はTシャツ1枚で下にズボンとか履かねぇのか?」


こんなことつぶやいたなんて知らずに
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