そして鷹はペンギンになり翔ける

□コンビ誕生
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そんなこんなで3対3終盤。
なんというか…すごい試合だ。


「やっぱ影山…すごいな」


最高打点をズレのない精密なトスが飛び交い、見事に得点を重ねていく。
日向のジャンプも、あんな小さな身長をカバーするかの様に高い。
なにより、二人とも楽しそう。


「………いいな…」

「な、楽しそうだな」


ぽつりと呟けば、隣にいた菅原先輩がニッと笑いながら俺を見る。


「…そうですね。楽しそうで羨ましいです」


動揺を悟られないように、なるべく普通に返す。


―――俺は今、なんで「いいな」って言った?
俺は今無意識に、「いいなぁ翔べて」と言いそうになった。

俺は逃げてきたのに。もう翔ばないと。翔ばない…いや、翔ばないなんてただのエゴだ。



俺は翔べないんだ。




「…あのさぁ泰長」
「…はい」
「その気持ちがあれば、お前は強くなると思うんだ」
「…!」


ビクリと反応する俺に、菅原先輩は「あんな楽しそうにコンビネーション使われたら、そりゃあ翔びたくなるよな」と続ける。
真っ直ぐ、目の前のコートを見つめる。



「俺は、リベロとして頑張るって言いましたけど、結局それは逃げてることなんです。でも、それでも俺なりに決めたんです」


ニッと笑えば、菅原先輩は目を見開く。


「すごいよ、泰長は」
「え?」
「俺だったら…バレー辞めてたかも…。それなのにリベロになった泰長は、すごいよ」
「えぇー…」


なんだか正面からそんな言われてしまうと、ちょっと照れてしまう。


「別に、すごくないですよ」


真っ赤になった顔をパタパタと扇ぐ。


「菅原先輩こそ、すごいじゃないですか。皆のこと見て、そうやって気遣ってくれて。兄貴みたいでなんだか弟気分で嬉しいです。俺、兄弟いないから」


お返しに褒め返すと、菅原先輩の顔も真っ赤に染まる。


「泰長に言われるとなんか照れるべ」
「ははっ、菅原先輩も真っ赤」
「泰長もだろ」


顔を両手で覆いながら、菅原先輩はしゃがみこむ。





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