そして鷹はペンギンになり翔ける

□“面白いチーム”
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「……あれ?俺言わなかったっけ?」

「はぁ?!聞いてねぇよ!名将烏養の弟子なんて!クソッ、羨ましい…」と、何故かご立腹の影山。
「うううううかい?!小さな巨人の監督?!泰長の師匠?!」と、その隣で不思議な動作をする日向。
「まじかよ…」と、固まったままの田中先輩。
「だからそんなに技術あるわけね…」と、妙に合点のいった顔の月島。
「だから烏野に来たのか…」と、納得したように頷く大地先輩。




「まあ俺の師匠なんて今はいいじゃないですか。ホラ、試合続けますよ」



くるりと背を向けて構えれば、皆少し遅れながらも構えをとった。

前衛は俺と、月島と、影山。相変わらずこの2人は仲があまりよろしくないようで、さっそく睨みあっている。




「あまりでしゃばらないでくれる?180しかないくせに」

「ヒョロヒョロしてるもやしに言われたくねぇよ」

「は?もやし?もやしっていうのはペンギンちゃんみたいな筋肉薄くて文化部にしか見えない奴のことを言うんだよ?分かってる?」

「とりあえずホタルの顔面にサーブ誰か当ててくれない?」



ニッコリと威圧感のある笑顔で言えば、月島と影山は睨みあうのをやめた。人を巻き込んで挑発すんな。


そうこうしているうちに青城からサーブが入り、田中先輩の真正面に落下する。
田中先輩はちらりと一瞬俺を見る。
「作戦実行」の意味を込めて、俺はコクリと頷く。



「やるよ」



ポツリと聞こえるように呟けば、影山と月島は俺に分かる程度に小さく頷いた。



「ッラァ!」


田中先輩により綺麗に上げられた一級目。


作戦実行。




まず、アイコンタクトをとり、素早く月島との位置を入れ変わる。
月島、俺、影山
この順番になったところで、俺はアタックラインより後ろに下がる。



指示通り、アタックラインより手前に上げられたボール。
その落下点真下。
頭上にあるボールを真っ直ぐ見つめ、額の真上あたりに手のひらを構え、



影山にトスを上げた。






ダァンッ、と、音が響く。
上がる歓声。




『影山、俺と交代しない?』
『…交代?』
『そうそう、俺が影山に上げるから影山が打ってよ』
『俺がか?』
『うん。俺、少しだけど中学の時セッターやってたんだ。試合はWSしかしてなかったから知られてはないんだけどさ』
『おもしれぇ。のった』
『はは、言うと思ったー』





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