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青城はバレー強豪校なので入部者が多い。
女子も、男子ほどではないが強いため
年々1年生の数は増加していっている。

今年は男子が17名、女子は12名。
全員の分の自己紹介が終わってから
私はノートとペン片手に歩き回っていた。

「名前と中学校、経験年数を教えて下さい」

11人目の聞き取り調査、テンプレ化だ。
私は言われる情報をノートに書いていく。
今日の部活はとりあえず経験者と未経験者
に分かれての1年指導になった。

経験者はスパイクブロック練習。
指導するのは副主将の一だ。
未経験者はボールの扱いに慣れること。
こちらは徹が指導する。

「はいオッケー、いいよ練習戻って」
「うす」

んー、と私は大きく伸びをした。
17人とかやっぱ多い、時間かかるわー。
えっと次に聞く人は...っと。

「次、国見!!」

私は名簿を確認して名前を呼ぶ。
すると経験者の集まりの中から、1人
出て来て私の方にだるそうに走ってきた。
センター分けは相変わらずらしい。

「久々だね、背おっきくなった?」
「ども、お久しぶりです」

私はニッと笑いかける。
国見は北一時代から知っている後輩だ。
だるそうなところは昔から変わらないけど
背は大きくなったし、雰囲気も。

「まだ塩キャラメル好き?」
「はい、好きっすね」

国見もクスッと笑いをこぼす。

「希望ポジはWSのままでいい?」
「はい、それでお願いします」

サラサラとノートに書いていくと、国見が
遠慮しがちに、欠伸を堪えきれずする。
私と目が合って小さく頭を下げた。
私はいいよ、と苦笑する。

「影山は青城じゃないんだね」

国見の眉間に一瞬シワが寄った気がした。
でも次にはすぐに元に戻っていた。
...あの試合で影山と仲悪そうだったか。

「確か...烏野ってとこに行ったような」
「え、烏野?!」

私の驚きに、国見の方が驚く。
か、烏野ってホント?!
私は口をパクパクと必死に動かした。

「...千尋先輩?」
「び、びっくりした...そっか烏野かー」

ん?と国見は首を傾げる。
後ろのコート内から一が見ている。
私はパタンとノートを閉じた。

「ありがと、じゃ金田一呼んでもらえる?」
「はい」

お辞儀をされてパタパタと国見が走る。
私はその後ろ姿を見送りながら、ハァ...
と微かに声を漏らした。

影山って烏野に行ったんだ。
でも何でだろ、そこまで強くないよね。
やっぱり国見とか金田一とは気まずい
とか...だから少し遠い学校に行ったとか?

うーんと腕を組むと金田一が走ってくる。

「先輩、お久しぶりです!!」
「ん、金田一久しぶりだねぇ」

人懐っこい笑顔で近寄ってくる金田一も
私のよく知る後輩の内の一人だ。
私もそんな可愛い後輩に笑顔を向けた。
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