黒バスboys.

□光が見えない/高緑
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それから2週間が経った頃。
毎日見舞いにいってやるのは相棒として
当たり前のことだし、義理がある。

俺が会いに行く高尾の目は1日ごとに、
左右の眼帯が変わっていて…もうしばらく
アイツの目が揃っているのを見ない。
ただ、高尾の元気は衰えることもなく、
毎日毎日騒がしい。

「ぶっ、何その頭についてるリボン!!!」
「おは朝占いのラッキーアイテムなのだよ」

来る日も来る日も、そんな他愛もない話。
ただ、その高尾の反応も毎日悪くなっていき
俺の顔を見えていると言っていても
それが本当なのか嘘なのか…

「そろそろ俺は帰る」
「おう、サンキューな真ちゃん」

そうやっていつも通りに別れの挨拶をして、
高尾は遠く…窓の外を眺める。
それは残り少ない目が見える時間を大切に
したいのか、俺には分からなかった。

そして次の日。
いつも通り、別に土産などはない。
休日の部活を終え高尾の部屋の戸を開ける。

「…高尾」

小さな声で呼べば高尾が振り向く。
ただ、それにはいつもより時間を要した。
きょろきょろと辺りを見渡してから俺の
方を向いてふっと微笑む。

「真ちゃん、来てくれたの」
「…高尾?」


高尾の目は揃っていた。
それがどういうことか…もう分かる。
高尾はもう、俺を見てなどいないんだ。
俺の声がする方を意識的に見ているだけ。


「高尾……見えてないんだな」
「まぁまぁ真ちゃん、とにかく座って」

朝…目が覚めて。
まだ寝てるんじゃないかと思った。
目は開いてるはずなのに、瞬きは出来る
はずなのに、真っ暗なんだ。
夜かと思ったけど看護師が来てさ、
いつも通りの朝の採血とか言ってて。

まさかとは思ったけどね。
昨日まで真ちゃんの顔も見えてたんだぜ?
なのに起きたら見えなくなってましたって…
それなら、眠らなきゃ良かった。

もっともっと、真ちゃんといたかった。
真ちゃんを見ていたかった。
3P打つ時のフォーム、ホント綺麗なんだぜ。
寝顔とかさ…すっげー可愛くて。
真ちゃんにパスが通った時のあの感じとか
最高だったんだけどな。

「高尾」
「でももう見えねーんだわ」
「……高尾」
「もっと真ちゃんとバスケしたかった」
「聞け、高尾…」
「真ちゃんのそば…いたかったなぁ」
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