黒バスshort.

□守るもの守られるもの/木吉
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1年後---


「ほんとに…大丈夫なの?」
「おう、大丈夫だから心配すんなって!!」

怪我から復帰した鉄平はまた前の様に
誠凛バスケ部に戻っていった。
とは言っても、まだ怪我の後遺症はある。
過度な運動は治りきっていない怪我を
悪化させるものだ。

今日はWCの出場権をかけた霧崎第一戦。

霧崎第一は、1年前の夏に鉄平を怪我
させた花宮真がいる高校だ。
私はいつも以上に鉄平を心配する。

「無理しちゃ駄目だからね」
「今日無理しないでいつ無理するんだ?」

私は溜め息をついた。
これをさらっと言ってしまう天然だ。
何を言っても無駄な気がする。
そして、時間だけが過ぎた。

「じゃあ…俺、もうそろそろ行くわ」
「うん、気をつけて」

私に背を向けて誠凛メンバーの集まる
団体受付へと歩き出す鉄平。
私も会場入りしようと歩き出した。
と、足を止める。
後ろから誠凛メンバーの賑やかな声がする。

「今の彼女っスか?!」
「火神君、失礼ですよ」
「あぁ、そうだよ中学からの」
「「ええっ、まじかよ?!」」

私は思わず振り返って笑みを浮かべた。
と、鉄平と目が合う。

「千広!!」

急に真剣な顔で私の声を呼ぶ。
そして近くにいた1年生や2年生達の
肩に腕を回してぎゅっと抱きしめた。

「前さ、誰が俺を守るかって話したろ?
…今はこいつらがいる、守ってくれてる!!」

私はこみ上げてくる思いを抑える。
鼻がつんとして涙が出そうになる。
そっか、一人じゃないんだね。
守ってくれる人がいるんだね、よかった。

鉄平は幸せそうに笑うと仲間達と一緒に
背を向けて歩いていった。





fin.

(あいつらだけじゃないよ)
(何が?)
(俺は昔から守られてたよ、千広に)
(私こそ、いつも守ってくれてありがとう)
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