黒バスshort.

□文化祭ってさ…2/all
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「お待たせー、パフェだよー」
「わぁっ、クマだ可愛いー!!」

「コーヒーなのだよ」
「おまっ…緑間、可愛いなおい!!」

「ケーキ遅くなーい?」
「あの…お待たせしました、あの…」
「ちょっとー、ケーキまだですかー!!」

本祭が始まってほんの数十分で2-1
にはたくさんのお客さんが詰め寄せた。
征ちゃん達が作る食べ物や飲み物を
私達、コスプレ組が届けている。
どうやら結構好評価ならしく、客足は
留まるどころかどんどん増えていく。

「千広、3番にこれ持ってって」
「あ、了解」

調理班からお盆に乗ったコーヒー3杯
を受け取るとバックヤードから
出て3番テーブルに向かった。
…うっ、でかくて衣装が落ちそう…

「お待たせいたしました」
「シンデレラか、君可愛いね名前は?」

そう聞いてきた3番テーブルご一行様に
何だか見覚えがあるような気がした。
確か…この制服って海常高校だっけ?
この人達も見たことあるような…

「僕はね、森山って言います…あなたを
救いに来た王子です」
「えっと…森山さん、ですね…」

私は苦笑いしてその場を去ろうとした。
と、森山さんの手が私の衣装を掴む。
くんっと引っ張られ私は振り向いた。
森山さんは無駄にいい笑顔。
でも…ま、まずい。
腰のギャザーが緩まった…

「名前を教えてはくれませんかシンデレラ」
「んと…12時の鐘がなりますわ、おほほ」

苦し紛れの言い訳が何故かノッてる
ようなセリフしか出てこない私の馬鹿!!
森山さんもなんかノッちゃってるよ!!
でもどうしよう…戻りたいけど、このまま
歩いてたら衣装ずり落ちてきちゃう。

「お客さん、うちのシンデレラになんか
用でもあるんすか」

と、私と森山さんの間に入ってきたのは
あろうことか大輝ことザリガニだった。
大輝は足がしっぽに手がハサミなため、
物を運ぶのが難しいらしく客引きや
思いの外女性客からの人気が高いらしく
写真撮影係なんかをやっている。

「衣装脱げそうなんだろ、さっさと行け」
「ごめん…ありがと大輝っ」

小声でそう言われて私は急いでドレスを
押さえながらバックヤードに走った。
腰のギャザーを寄せながら心配になって
大輝と森山さんの方を見る。

「代わりと言っちゃ何だが…おい」
「えっ、ちょ…なんスか急に青峰っち」

大輝が近くを歩いていたワンピース…
即ち涼太を強引に引っ張って、森山さん
の前にずいっと差し出した。
状況が掴めていない涼太はどうもっス
だなんて呑気に挨拶をしている。

「美しい…君、名前は」
「え、黄瀬涼太っスけど」
「…キ、キセキの世代の黄瀬涼太…?!」
「ちなみに俺も青峰大輝だぜ」

やっぱり3番テーブルの男子高生たちは
海常のバスケ部の人達だったんだ…
そういえばあの中の一人って…前に雑誌
で取り上げられてた笠松幸男?
キセキの世代の獲得を狙って事前に
偵察にでも来たのかな…

「キセキの世代だって言うもんだから、
どんな大層な奴らかと思えば普段は普通の
男子中学生と何ら変わらないんだな」

笠松さんはぐいっとコーヒーを飲むと
立ち上がり行くぞと言った。
慌てて森山さんともう一人も立ち上がる。
私はバックヤードから出て頭を下げた。
そして3人が出ていくと大輝と涼太の
近くに立って2人を見上げる。

「ありがとね大輝も涼太も」
「よく分かんないっスけど…はいっス!!」
「おう、気にすんな」

二人ともとってもかっこいいけど…
ワンピースの少女とザリガニ…
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