黒バスshort.

□文化祭ってさ…/all
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征ちゃんの思わぬ返事にみんな、
驚いた顔をして動きを止めた。

「大輝や真太郎のコスプレを見る機会
なんてそうそうないだろう」
「赤司、笑い方が怖いのだよ…」

なるほど…でもそうなったら征ちゃんも
コスプレするはめになるんじゃ…
いや、征ちゃんなら何とかして自分は
助かる道を見出しそうな気もする。

「去年の3年生って確かコスプレ喫茶店
やってたっスよね、あれ結構クオリティ
高かったような気がしたっス」

涼太の言葉に反対組の顔が強ばった。
きっと去年のことを思い出したんだろう。
男子がシンデレラの格好やセーラー服
なんてざらにいたし。
酷い人はア二メキャラにされてた…

あの頃はバスケ部の先輩の憐れな姿を
見て楽しむことしかしてなかったけど…
まさか今年自分達がその立場になる
なんて思わなかったんだろうなぁ。

「去年の悪夢の再来かよ、ちくしょう…」
「諦めるっスよ、青峰っち」

がっくり肩を落とす大輝をぽんぽんと
優しく叩いて励ます涼太。
なんか賛成に票入れて申し訳ないな…

と、教室の扉が勢いよく開いて大きな
段ボールを抱えた女子が3人入ってきた。

「ちょ、真由…すごい荷物なにこれ?」
「あぁ千広、男子のコスプレ衣装」
「去年の3-4のが資料室にあってねー」

教室の男子達が慌てて立ち上がる。
1番マシなのを選ぼうって魂胆ですか…
まったく悪あがきだよねー
と言おうと振り返るとそこからは征ちゃん
以外のメンバー全員が消えていた。

「どけ、1番マシなの選んでやる!!」
「あれ黒子っちどこっスか?!」

私と征ちゃんは思わず顔を見合わせる。
あぁ…馬鹿だ、あいつら…と意思疎通。
私は征ちゃんの前の席、テツヤの席に
座って後ろを振り向いた。

「でもさ余りはきっとアニメキャラだよ?
征ちゃんは行かなくていいの?」

すると征ちゃんはふっと笑い頬杖をついた。

「僕はクラ企の責任者だからね…調理係
に入らせてもらうよ、だから大丈夫」

な、なるほど…そういえば征ちゃんは
クラ企の責任者だったの忘れてた。
調理係の中でも、ほんとに裏方仕事の
人はコスプレしなくてよかったんだっけ。
確か3人くらいなはずだけど…さすが。

「それより千広はいいのかい?
女子の衣装も来たみたいだけど」
「真由に融通利かせてもらうから大丈夫」

あははと平和的な表情をしているのは
この教室の中で私達、一角だけだ。
他は衣装争奪戦か敗北したか…
マシなのを取れても嬉しくはないだろう。

「あ、テツヤおかえりどうだった?」

1番先に帰ってきたのはテツヤ。
腕の中には執事の黒いかっちりした衣装。
なかなかマシなのを選んできたなー。

「こういう時に影が薄いと役に立ちます」

テツヤは影が薄いから、ああいう中でも
流れに流されて大抵すぐに最前列に
出ることが出来るから羨ましい。
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