黒バスshort.

□文化祭ってさ…/all
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「2年1組のクラス企画は協議の結果、
コスプレ喫茶店に決定しました」

いかにも委員長そうな女の子が教卓前
に立って話し合いを終結させると
8割の歓声と2割の不満そうな声が響いた。


6月、本校の創立記念日と同時に開催
される文化祭は毎年盛り上がる。

帝光中は中学校のわりに高校と同レベル
のけっこう大規模な文化祭になる。
3日間通じて行われ、クラス対抗歌合戦や
各部の企画したゲームをするわけで…

その中でも本祭と呼ばれる最終日。
クラス全員で行うクラス企画、通称クラ企。
教室や中庭、体育館などを使用して
お化け屋敷や模擬店、劇やライブなんかを
やる3日目が1番楽しい日だ。

そのクラ企の内容がたった今決まった。
模擬店部門に入るコスプレ喫茶店…
私は椅子に座ったまま振り向く。

「コスプレ喫茶、賛成反対どっち派?」
「俺はどっちでもいいっスね」

そう答えるのは金髪にピアスのモデル、
帝光中バスケ部の黄瀬涼太。
私は男バスのマネージャーなわけであり
キセキの世代と呼ばれる一軍2年生の
レギュラー達といつも一緒にいる。
黄瀬涼太もそのうちの一人。

えー、それじゃつまんないよと私が
涼太の机にぐだっと突っ伏すると、
上から頭をぐしゃぐしゃと荒らされた。

「俺は断然反対だな、コスプレとか」
「大輝っ…ちょ、髪の毛」

頭を上げるとそこにはいたずらっ子の
様に意地悪な笑みを浮かべた青峰大輝。
次いで、緑間真太郎もやってくる。
彼らもまたキセキの世代の一人。

「俺も反対なのだよ、恥をさらす気か」
「恥って…コスプレ楽しそうなのに」

まぁ確かに…大輝や真太郎がコスプレ
するのなんか想像も出来ないんだけど。
いや、ほんとに想像出来ない…
涼太はモデルだし似合いそうだけど。
大輝が王子様…真太郎が執事さん…

「んっと…ちょっと向いてないかも、ね」
「ちょっとどころじゃないのだよ」

はぁと大きく溜め息をついた真太郎を
見て大輝は何か思いつく様ににやっとする。
その黒笑は私に向けられていると察知した。

「でもお前がメイドとかは似合うんじゃね」
「青峰っち最低っス…」

そう言って指さされたのは私の胸。
こんの、エロ峰…
私は黙って鉄拳制裁を下しておいた。
大輝がしばらく再起不能になっている間に
私と真太郎と涼太は場所を移す。

「テツヤ、あっち、征ちゃん」
「みんなはクラ企に賛成反対どっちっスか?」

窓際の席、縦一列に残りのキセキの世代
が座っているわけで、あっちこと紫原敦
と黒子テツヤは一緒に話していた。
もっともテツヤはキセキの世代と言うより
彼らを影で支える6人目だけど。

征ちゃんこと赤司征十郎は帝光中バスケ部
のキャプテンである人だ。
他のキセキの世代とは少し雰囲気が違う。
征ちゃんは読んでいた本を閉じた。

「喫茶店ってー、お菓子とか出るのー?」
「あっちはお菓子のことだけなんだね」
「もちろんだよー」

そう言ってあっちはカバンの中から
大量のお菓子を取り出して食べ始めた。

「僕は反対です…恥ずかしくないですか」
「だよなテツ、恥ずかしいよな!!」
「青峰君に恥ずかしいとか感情あるんですね」

おいテツ…と少したじろぐ大輝。
私は征ちゃんの方をちらっと見た。
征ちゃんは黙ってテツヤと大輝のやり取り
を見て、微笑んでいた。
…大人なんだよなぁ、征ちゃんって。

「ね、征ちゃんは?」
「僕は賛成に入れさせてもらったよ」
「え、赤司っちが…賛成に?!」
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