ordinary(long)

□01>天才ではない
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「バレー、やらない?」
「は...バレーって、バレーボール?」

そんな話を持ちかけられたのは小4の、
すっごく暑い日だった気がする。
アイツはいつも通りニコニコ笑ってた。


私と徹は家絡みの幼馴染みだ。
親同士が高校時代の同級生で、家も隣で
やたらと近いし窓を伝って部屋に行ける。
幼稚園だって小学校だって一緒だ。

徹はよくモテるし、イケメンらしい。
私にはさっぱり分からないけどね。

そんなヤツからの突然の誘いだった。

「バレーボールチームにさ、岩ちゃんと
入ろうかって話してて、だから千尋
もやろうよバレーボール、ねっ!!」
「は、はぁ...」

岩ちゃん...あぁ、一までやるんだ。
一とは、私達と同様に幼馴染み関係だ。
いつも3人で一緒にいる。
何がここまで彼の興味を引かせたのか。
そんなことは分からないけど、徹が
バレーをやると言うなら私もやる。

「じゃ、お母さんに聞いてみる」
「如月のおばさん、いいって言ってたよ」
「...私より先に聞いたの?」

若干、呆れ気味に私は溜め息をついた。
でもどこか心の奥、ワクワクした。


これが私と徹と一の、バレーとの出会い。

地元のバレーボールチームと言っても
レベルは結構高くて...でも、その中でも
徹はズバ抜けて成長が早かった。

思えばその時から、彼は努力家だった。
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