黒バスboys.

□タイムマシーンがなくたって/黄黒
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こうやって高校は違えど…よくもまぁ
黒子っちは俺と話してくれるな。

そんなこと、今まで考えもしなかった。

普通に中学では部活からいなくなって
学校も卒業式も結局は来なくて。
それでも高校が近ければ会う機会はあるし
それなりに話せるだろうと思ってた。

案の定、神奈川と東京…そんなに遠くもない
高校にお互い入りバスケ部にも入って、
俺が誠凛に行って黒子っちを返してくれと
まぁ…本気ではなかったけど。

ただ、最近少し思うようになってきた。


“黒子っちは俺達のせいで部活を辞めた。
なのに俺はそんなこと考えたこともなくて
一方的に話してるだけなんじゃないか”


俺としてはあの日々はいつまでも胸の中に
ある特別な…大切な思い出だけど。
黒子っちにとってはどうなんだろう。

確かに中学の時の俺達のプレースタイルや
試合に臨む姿勢は良いものではなかった。

でも、目を閉じればふざけてる青峰っち
がいて…変なアイテムを持ってる緑間っち、
お菓子をいつも食べてる紫っち、それを
注意する赤司っち、笑って見る桃っち。

そして黒子っちがあの頃の笑顔のまま…
懐かしい仲間達が浮かぶんだ。

あの頃に戻りたいと、少しでも思う俺は
やっぱり黒子っちとは違うんスかね?
こんな気持ちなのは俺だけっスか?


「困ってはないスか?」
「…問題ありませんよ?」

少し怪訝な表情で答える黒子っちに無力に
笑いかけると、不意に口が動く。
無意識に声が出た。

「……寂しくは…ないスか?」
「問題ありませんよ」

脳天をハンマーで殴られたような衝撃が
俺を襲って、無理にでも笑うことが
こんなにも難しいものか…と感じた。

黒子っちは誠凛が大好きなんだ。
それは全然悪くない、けど。
やっぱり俺とは考え方は違うんだ。
黒子っちは…俺達が嫌いなのか。

「…黄瀬君」
「なんでもないっス、聞いてみただけ」

ようやく少し笑うことが出来る様になって
俺はいつも通り何でもない、と言う。
すると黒子っちが眉をひそめた。

「黄瀬君、今日はずいぶん感傷的ですね。
キミの方がちょっと心配ですよ…
新しいチームに馴染めてないんですか?
…無理に笑わなくてもいいんですよ」

その言葉が心を、過去を、深く削る。
思わず歯ぎしりをすると黒子っちは黙って
心配そうに俺を見上げていた。

「黒子っちは…嫌いっスか?」
「…何が、ですか?」

俺はその場にしゃがむと小さな声で話す。
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