黒バスboys.

□凡人と天才/高緑
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この世の中に、まぁ…ジャンルは違えど
天才と呼ばれる人はどんくらいだ?
そんなの知ったこっちゃないけれど…
多分、ひと握りの人間だけなんだろう。

その生まれ持った才能を開花させずに
死んでいく奴もいるのかな、と思う。
もしかしたら俺も違うことに関しては天才
なんだろうか…なんて考えたりして。

まぁ、そんな天才に凡人が敵う訳もなく
どんな努力をしたって、どんなやる気が
あったって結局は負けてしまうんだ。

中3のあの試合…
トリプルスコアで負けるなんて初めてで。
強豪の帝光に勝てるとは思ってなかった。
けど心のどっかで、俺達ならいいとこまで
すがれるんじゃ…とか思ってて。

やたらクールなキャプテン。
テンション高いモデル。
だるそうにバスケするゴツイの。
何かめちゃめちゃでけーの。

ほんと、どいつもこいつも天才ばっか。
マジで同学年かってくらい技術もあって
そもそも体の作りが違いすぎる。

そんな中で、俺は何故か惹かれた。
ただ淡々と3Pを決めていくその姿に。
他の5人とはまた違う雰囲気の奴。
だるさもないけれど、目に見えるほどの
やる気も感じて取れない。

試合が終わって泣きたくないのに目からは
涙があふれる俺の横を素通りしたあいつ。

俺はその時、思った。
天才ってずりぃ。
どんなに努力したって届きゃしない。
天才は…どこまでも冷たい。


信じられるか?
新たな環境…バスケ部の強い秀徳高校に
入って、もう天才には負けない。
そう誓った時の、あいつとの再会。

「帝光中出身の緑間真太郎です」
「お…お、前…」

自己紹介でそう言って、俺を一瞥した時の
何も覚えていない様な視線。
やっぱ…冷てぇわ。

まぁ、あんだけ強豪ならいちいちどこと
試合したとかそのスコアとか選手とか
そんなの覚えてるわけねぇか。
だって俺は…ただの凡人。

でも俺だって少しは変わったんだ。
緑間に負けない様に、天才に一歩でも
近づける様に何度もいくらでも努力する。

走って、シュートして、基礎練して、
筋トレして、色々勉強して。

天才のあいつより絶対練習してると思った。

だけど俺は一度だけすれ違った。
外で走っている時に緑間と。
まぁ天才でもランニングくらいはするよな…
ただ俺はまたあいつに惹かれた。

よく見りゃ、俺が学校じゃなくて公園で
シュート練してるだけで…
あいつは部活後ずっと体育館で、一人で
シュート練を飽きもせずやってて。
コースが違うだけであいつも毎日毎日、
外で走り込みやってて。

帝光と試合した時に思ったけど、
体の作りが違うって、天才だって。

部活で着替える時に見えるあいつの体は
毎日鍛えてないとならない体つきで。
色んなプレーのことも知ってて。


あぁ、天才なんて嘘だなって。
コイツも同じなんだなって。
凡人ではないにしても、天才だとしても、
努力し続けてるのは人と同じなんだ。

自惚れてたのは俺の方か。
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