黒バスboys.

□未来の僕らは/黒火青
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「教科書72ページを開いてくださいね」
「先生、源氏物語ー?」
「山口君、源氏物語は54ページです」

どっと教室中が沸いて、僕は苦笑した。


僕は都内のとある高校の国語教師。
現文より古典を教える方が少し得意で、
バスケ部の顧問をやってたりなんか。
高校を卒業してもう、かなり経つ。

「火神君…アメリカに行くんですか?」
「あぁ、高校卒業したらな」

そんな会話がまるで昨日の様に思い出せる。
夢はNBAのプロバスケプレイヤーだ。
自信ありげに確かそう言っていた。

それに比べて僕は普通の高校教師だ。
別に劣等感があるわけでもない。
毎日が楽しいし、バスケ部の顧問なんて
にもなってしまって充実もしている。

ただ、やっぱり君とは遠いなと思って。


「先生っ、そういえば月バス見た?」
「こら真田君、今は古典の時間ですよ」

ちぇっとうちのバスケ部員が拗ねながら
カバンから雑誌を取り出す。
まったく…と呟くと真田君が笑顔で僕に
月バスの表紙を見せた。

「NBAの火神と青峰の独占インタビュー!!」
「えっ?」

表紙には、少し変わったものの眼差しや
2人の距離感はあの日のままの旧友の姿。
思わず僕は見入ってしまった。
彼らがNBAでプロバスケプレイヤーとして
名を馳せていたのは無論知っていた。

連絡こそ途絶えてしまったものの、応援
していたし、それこそ月バスに出ることは
今までに何度かあったこと。

ただ、こんなに大々的に取り上げられるのは
初めてで胸に熱いものを感じる。
…頑張っているんですね、2人とも。

「先生って火神と青峰の話した時必ず
嬉しそうな顔するよね、好きなの?」

僕は首をかしげる。

「…ただのファンみたいなもんですよ。
真田君、雑誌は没収です」
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