黒バスboys.

□お互い様でしょ/青黄
1ページ/2ページ


元々付き合いは長くなかった。

こいつが俺に憧れただかでバスケ部に
入ったのは中2の時だし、こいつが
スタメンとして起用されたのはそれから
もう少しだけ経った頃だった。

「青峰っちはほんとよく食うっスねー」
「黄瀬が食わなすぎなんだよ」

それなのにどうしてなんだろうか。
こいつは俺にべったべたくっついて、
高校がばらばらになってからもこまめに
連絡をよこすのは変わらなかった。

俺はと言うと携帯電話とは名ばかり。
そもそも携帯していないし、もっぱら
カバンの中や家の時もある。

だから返事なんかするのは少なかったし
それは黄瀬もわかっていたはずだ。


俺はハンバーガーを女みたいな小さい
口で食べる黄瀬を見て溜め息をつく。
3月も下旬、俺達は高校を卒業した。

「青峰っちが将来は警察って…」
「なんだよ、笑ってんじゃねーよ」

ぶっと吹く黄瀬を横目に俺は仏頂面で
ハンバーガーを黙々と食べる。
俺は頭が悪いくせに警察になるつもりだ。
ちなみにこいつはモデル業からの延長で
俳優への道に進むらしい。
元々そういう話は出ていたらしいし。

「警察大学校なんて受かるわけもねーし
まぁ、今んとこはフツーの大学だけどな」
「でも受かってよかったじゃないスか!」

まぁな、と頭をかく。
フツーの大学と言っても俺にとっちゃ
スポーツ特待も効かない受験は初めてで
しかも俺はどうしようもなく馬鹿だ。
正直、部活を引退してからの受験勉強は
一生分したんじゃないかと思う量。

「もうほんとに俺達の接点も無くなるっスね」
「なんだよお前らしくねーな」

ははっと笑う俺を黄瀬は睨みつけると、
中学の頃は可愛げがあったのに…と呟く。
俺はまぁ聞かないことにしてやった。

「あれから結局、海常が桐皇に勝つ事は
なかったし…やっぱ悔しいっスねー」

俺達が高2、高3になってのIHやWC。
練習試合を組んだりもしたが、結果として
海常が桐皇に勝つ事はなかった。
ただ、そう言うと語弊がある。
俺と黄瀬がスタメンとして出ない試合は
練習試合では何試合かあった。
その時何度か海常が勝ったことはあるのだ。

こいつにとって、自分と俺が勝負して
勝たない限りは気が済まないらしい。
黄瀬の視線が俺に送られる。

「青峰っちってかっこいいっスよね」
「はっ、お前…何言ってんだ大丈夫か?!」

黄瀬は慌てて全身で否定する。
男が男に恋するような類の…どうやら
そういうかっこいいじゃないらしい。
ふと視線が遠い目に変わった。
俺はそういう表情をするこいつがそんなに
嫌いじゃないみたいだ。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ