黒バスshort.

□夏といえば合宿だ!!2/all
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それからの合宿生活、意外と赤司君が
朝は苦手だということが分かったり
テツヤの最短リタイアが更新されたり、
大輝がアレなものを持ち込んでいたのが
バレてペナルティをくらっていたのに
涼太も巻き沿いになっていたり…

とにかく毎日が充実していて練習に参加
しないマネージャーとしては、合宿が
終わってしまうのが名残惜しかった。

そして最終日前日の夜、事件が起きる。

「何か起こりそうないい天気じゃないか」

カーテンを開け外を眺める赤司君の背中
は完全にヤバイ、の一言に尽きる。
こちらを向いた瞬間、その日何度目かの
雷が落ち大輝と涼太が悲鳴を上げた。


合宿の間の天気は、全日晴れマーク。
気温もそこそこ高かったけど山ということも
あってか街中よりも風通しがいい。
この別荘地を離れるのは最終日の朝。
最後の練習、ということで前日は今までの
総まとめ的な厳しい練習が行われた。

そして別荘に帰ってきて、涼太がお風呂に
入っている時…悲劇が。

「ちょっとー、誰っスかお湯止めたの!!」
「誰もお湯など止めていないのだよ」
「黄瀬ちん、どんま〜い」

涼太のお湯が出ないという申告から数秒、
リビングの電気が一気に消える。
私の短い悲鳴が響けば、他の部屋からは
さつきのもっと大きい悲鳴。
確かさつきは私達の寝室にいたはず。

「…別荘全体の電気が落ちたかな」
「さつき、大丈夫か!!」

真っ暗で見えない中、声を発した赤司君と
さつきを助けに行く大輝の位置だけ分かる。
私は一歩も歩けず暗闇の中に立ちすくんだ。

「大丈夫ですか、千広さん」
「テツヤ…?!」

不意に肩を叩いたのは口調からしてテツヤ。
ただ、姿も見えないし元々影も薄いしで
私はとりあえずテツヤの肩に手を置く。
そしてリビングの扉が開いて、さつきと
大輝が入って来て全員が揃った。

「全員揃ったね、みんな怪我はないかい」
「赤司っち…俺を忘れてるっス……」

多分お風呂から家具を伝ってリビングまで
やってきたであろう涼太は不憫で、
でもその水っぽさを含んだ足音は正直…
この暗闇で聞くとただのホラーだ。

「なにか起こりそうないい天気じゃないか」

そう言って赤司君がカーテンを思い切り
開ければ外は大雨暴風、雷オンパレード。
さっきから雨は降ってるなとは思ってたけど
まさかこんな酷いとは…

外に落ちた雷の明るさで一瞬リビング内が
明るくなり、私は涼太が今バスタオル
1枚しか装備していないのを見て見ぬフリ
をしつつ、目をそらした。

「この様子だとここら一体の電気の大元が
やられたと考えるのが妥当なのだよ」
「赤司、助けは呼べねーのかよ」

電波が悪い、この雨じゃ無理だ、という
結論に私達はお互いの姿も見えないまま
うなだれ、かすかに私の横にいたテツヤが
大丈夫、と呟いたのが聞こえた。
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