黒バスshort.

□そんな君だって/高尾
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うち、秀徳高校バスケ部は元々強豪で
東京都不動の三大王者、“東の王者”
という異名をつけられていた。

そして今年、また新しい1年が入って
三大王者の中でも突出した高校に。

キセキの世代の一人、緑間真太郎。
彼の獲得に成功したうちは前からとは
言えど、確実に勝率が伸びた。
そしてこれはそんな彼の相棒の話。


「高尾君っていっつもふざけてるよね」
「ひっでーなぁ、千広先輩」

いつもの部活での休憩時間、私は年下の
高尾君の手首にテーピングをしていた。
午前の練習で痛めたらしい。
彼は天才と呼ばれる緑間君の相棒だ。

中学の頃、緑間君のいた帝光中バスケ部
に負けたことがあるらしい。
でも今はそんな彼と1番仲がいい。
いつも真ちゃん、と付きまとっては緑間君
にウザがられている始末だ。

はたから見たらいつもおちゃらけてて、
なのに天才の相棒でバスケがうまい。
私も前まではそう思っていた。

「なんでいつも笑ってんの?」
「えっ、別に理由なんかないっスよー」

そう言って彼はまた笑う。


私は知ってる、マネージャーだから。
誰よりも自分に厳しく長い時間練習して
辛い表情は絶対に見せない。
彼は言うなれば素顔を隠したピエロだ。

怪我をしても、騙し騙し練習をして
自分にどこまでもストイック。
私はそんな彼を知っている。


「あんまりムリしないでよね?」
「だって真ちゃん、天才なんかじゃねーもん」
「えっ?」

高尾君はにっと笑う。

「真ちゃんは誰よりも努力家だから。
俺が足引っ張ってちゃ駄目なんっスよ。
世間様が言う天才の相棒努めるのに
俺が手抜いた練習出来ないっしょ!!」

テーピングあざっす、と言って高尾君は
また緑間君の元へ走っていった。


…いつもおちゃらけてる君だって、
ほんとは誰よりも真面目でバスケが好きで
背負ってるんだって、私は知ってるよ。

私は頭をかきながら溜め息をついた。






fin.

(真ちゃんが頑張るから俺も頑張れるんだ)
(高尾が頑張るから俺も頑張れるのだよ)
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