黒バスshort.

□ポーカーフェイス/黒子
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「ねぇ、きいてる?」
「きいてますよ、近所のパン屋さんの話」

はぁっと私は溜め息をついた。
テツヤとは幼稚園からの幼馴染み。
私はバスケをよく知らないし出来ないけど
中学でのテツヤが出た試合は観に行った。
途中、挫折したり少し塞ぎ込んだり
してたけど、春から私達が入学した誠凛
高校でもまたバスケ部に入ったらしい。

それはいいとして、応援もしてる。
けど今日のテツヤはいつもにまして
上の空というかぼーっとしてる。

感情が表に出ない人だし、会話の反応も
普通の人に比べたら薄いけど…
いつもはもっと、というかまだマシだ。
まぁ…テツヤなら仕方ない、か。

「すいません、そういえば今日は早めに
部活に行って降旗君と練習するって
約束してたので…もう行きますね」

少し微笑んで教室を出ていくテツヤの
後ろ姿を私は無言で見送る。
…バスケ、ほんとに好きなんだなぁ。
テツヤが笑うのなんてバスケ関係だけだし。
帝光時代、色々あったはずなのに。

私もかばんを背負うと生徒会室へと
だるそうに歩いていった。

というか…テツヤは何を考えてんだろ。
まさか年がら年中バスケのこと?
男の子の考えることって分かんないな。
ってか……私なんで今日こんなにテツヤ
のこと考えてるわけ…?!

「あーもう……学祭の議案書作りで忙しい
のに、集中しなくちゃ…ほんとに。
失礼しまーす、こんにちは」

生徒会室の扉を開けるといつもの面々が
パソコンに向かっていたりお菓子を
食べていたり、変わらない光景。
私はかばんを置くと自分のパソコンの
電源を入れ天井を見上げた。

…昔からそうだったよね。
私がどんだけ心配しててもテツヤは
けろっとしてたり、いつまでも敬語を
使ってきたり…温度差というか。
私が馴れ馴れしくしすぎなのかなぁ。
でも私達、幼馴染みだよ?

「千広?パソコン立ち上がったよ?」
「あっ、すいません…ぼーっとしてて」

私は大きく溜め息をついてかばんから
作りかけの議案書案を取り出した。
そしていつも通りの放課後が始まった。
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