黒バスshort.

□文化祭ってさ…/all
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「俺もそんなに変じゃないよー」
「あっちのソレは…何?」

テツヤの横ににこにこしながら立った
あっちの腕の中には茶色い布…
ん、耳がついてる…しっぽ?

「クマ、俺サイズはこれしかないってー」

確かに…2m越えの服なんてそうそうない。
でもあっちがクマなんて着ぐるみ着たら
大きさ的にはリアルクマで怖いわ。
征ちゃんは相変わらず微笑んでいて、
似合うんじゃないかとか言ってる。

と、テツヤとあっちの間に涼太が入った。
心なしか表情は暗い。

「俺は敗北して女物のワンピースっス…」

てろーんと広げられたワンピースは
青と水色と白が基調の夏らしいもの。
ご丁寧にふりふりつき。
私は慌てて涼太に笑いかけた。

「でもさ、モデルだし元々顔立ちがいいから
化粧とかしたら可愛くなると思うよ!!」

涼太がそうっスかね…と顔を上げる。
キセキの世代からは“モデル(笑)”って
呼ばれてるけど、まぁ顔立ちいいし…
普通に化粧すれば可愛いと思う。

「私が化粧してあげるから、ね?」
「少し気力が湧いてきたっス」

さて、ほんとに問題なのは…

「あそこで崩れ落ちてる2人だな」
「峰ちーん、みどちーん、大丈夫ー?」

乱雑した段ボールの近くで膝から
崩れ落ちている大輝と真太郎からは、
完全に負のオーラが立ち込めている。
あぁ…見事に敗北したんだ。

「負けるのって…悔しいんだな」
「あぁ、初めて敗北を知ったのだよ…」

思わずぶっと吹き出しそうになる。
2人はキセキの世代の一員。
無敵の3Pシューターに変幻自在の天才。
こんなところで敗北するなんて…
見ててほんと、笑える…

「二人とも一体どんな服だったんですか?」
「近寄るな黒子!!」
「駄目だあっちにいけテツ!!」

心配して近寄るテツヤに容赦ない言葉を
浴びせる2人はよっぽど焦ってる。
どんだけはずれの服に当たったんだか…
テツヤは黒いオーラを全面に出した。

「ずいぶんなこと言ってくれますね」

あぁ、ああなったテツヤはもう駄目だ。
俗に言う“真っ黒子”状態。
テツヤはさっと大輝の衣装をとる。
大輝の手は惜しくも届かなかった。

そして、しばらくそこの空間にいた
3人の動きがぴたりと止まる。
テツヤが衣装を返しながら頭を下げた。

「すみませんでした青峰君…」

そしてお葬式後の様な顔で戻ってくる。
私達は大輝と真太郎を憐れんだ。
あぁ、テツヤが謝るくらい酷いんだ…

「えっと…部活、行こうか」
「そうだな、いつまでも引きずってる奴は
今日の練習メニュー3倍でいこう」


視界の端に、勢いよく立ち上がり衣装を
ロッカーにブチ込む大輝と真太郎の
姿が見えて私は心の中で合掌した。
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