カーニヴァルL

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互いに相手の様子を窺うように睨み合う中、先に攻撃を仕掛けたのは相手の方だった。

名無しさんとの距離を詰めて、腰にさげた袋から何かを取り出し、投げつけてくる。

目だ。

変わった攻撃だな。

目を投げてくる奴なんて始めてみた。

それ以前になんで目なんて持ってんだよ。

ところがその目も普通ではないようで、何かを生やし、網状になって名無しさん達を捕らえようとする。

名無しさんもそう簡単に捕まる訳にはいかず、手に持った竹光を軽く振り、真っ二つに斬る。

そんなこんなでなんとか敵の攻撃を防ぐものの、攻撃が出来ないんじゃキリがない。

どうにかして攻撃をしようと試みるが、少年を放っておく事も出来ない。

むしろ狙われているのは少年だ。

まだ相手は無傷だし、本気すら出していない。

それに対し名無しさんは、防ぎきれなかった攻撃のせいで小さい傷が増えていくばかりだ。

このままだと程なくしてやられる。

少年にも手伝ってもらうしかない。

拳銃位なら少年にも扱えると思い、後ろを振り向いた名無しさんだが、少年は予想以上に怯えていて、手伝えそうもない。

残念だが、ひとりでやるしかなさそうだ。

そう考え、敵に向き直った瞬間、全身に強い衝撃がはしった。


これだけの巨体に殴られちゃたまったもんじゃない。

幸い少年は後ろに下がっていたため被害はなかったが、名無しさんは手持ちの武器をすべて落とされてしまった。


「どうしよう、これは不味いぞ」


名無しさんは愚痴を溢しながら、少年の前に立ち、化け物と対峙している。

化け物は不気味に笑いながらこちらとの距離をじりじりと詰めてくる。

困った。

体術はあまり得意じゃないし、こんな巨体と張り合えるわけがない。

そもそも私は近距離戦は苦手なんだ。

走って逃げるのもまず不可能。

少年だけでも、と考えるが、この化け物の狙いは少年。

次攻撃されたら一貫の終わりだ。

そんな事を呑気に考えている暇もなく、またもや化け物の腕はこちらに伸びてくる。


と、その時。

何かが降ってきた。

嘘じゃない、本当だ。なんか黄色いのが上から降ってきたんだって。

名無しさんは驚いて一瞬固まったものの、今のうちにと思い少年の手を引き後ろへと走り出す。

勿論、落ちている自分の武器も忘れず拾って。

さっきまで居た開けた場所から、木が生い茂っている所に入っていき、少し息を落ち着かせてから振り返る。
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