TALES OF THE ABYSS

□2006.12.26
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「…ヴァンの奴、いったいどういうつもりなんだ?ファブレ公爵邸に呼び出すとは…」

「あらぁ、アッシュ」

「な、ナタリア?」

「どうなさったんですの?」

「い、いや。ヴァンに呼び出されてな」

「ヴァンヨウショウ?今日はお見えになっていらっしゃらないようですけど?」

「急ぎの伝書鳩が来たのだが…」

「何か行き違いがあったのかもしれませんわね」

「ふ、邪魔したな」

「あっ!アッシュ。せっかくいらっしゃったんですから昼食を一緒に頂きませんこと?実はルークに新作料理を用意して来たんですけど、さっきから姿が見えなくて…」

「別に腹は減ってない」

「それは私の料理が不味いから食べたくないという事ですの?」

「別にそんな事は言ってない!」

「良いんですのよ。わかっています。私、本当に料理が苦手なんですの。私はレシピ通りに作ろうとしていますのに、材料の方が反旗を翻すのですわ」

「ああ、そんな事は無い。お前の料理は…その…独創的で、俺は良いと思うぞ」

「アッシュ!嬉しいですわ。それならぜひ、食べて行ってくださいませ。そうだわ!今日はお天気も良いし、あそこのテラスで食べたらきっと気持ちが良いと思いますわ」

「あ、ああ」

「さあさあ!」

「な、ナタリア!そんなに強く引っ張るなっ!ゲホッ!」




「ジャ〜ン!ナタリア特製新作料理ですわ。さ、遠慮なさらずにたくさん召し上がってくださいませ」

「…」

「あら?どうなさったんですの?アッシュ。遠慮はいりませんことよ」

「…いやその…これは何だ?」

「ジャ〜ン!ナタリア特製新作料理ですわ」

「いや、それはわかっている。このトマトとトマトの間にパンが挟まっているのは…何だ?」

「ナタリア特製サンドイッチですわ。普通のサンドイッチとは発想を飛躍的に変えてみましたの。斬新じゃありませんこと?」

「ひ、飛躍しすぎだろ?…それにさっきお前はレシピ通りに作っていると言ったが。これは…」

「ええ。でもレシピ通りだと上手くいかないので発想を転換する事にしましたの。こうすれば逆に美味しく出来るのだと思ったのですわ。ちなみにこちらはカレーうどんからヒントを得たカレー素麺」

「!?」

「おでんの種にハンバーガーを使ったハンバーガーオデン」

「うっ!?」

「冬でも美味しいホット冷し中華」

「ぐっ!?」

「ミックスピザの反対をいく何も載ってないシンプルピザ」

「な!ナタリア!!」

「は…はい?」

「お前は王女だ」

「ええ。そうですけど?」

「その…だからお前には王族としてのたくさんの務めがある…果すべき義務があるわけだ。…それにわざわざ料理などしなくてもな」

「まぁ!何ですのアッシュ!?王女だからこそ民の生活を知って治世に活かさなくてわ」

「ぁ…それはそうかもしれないが…」






「ふ〜。ヴァン師匠のふりをしてアッシュの奴を呼び出しておいて正解だったぜ。アッシュ!悪いけどナタリアの料理を食って成仏してくれよ〜」

「む?あれはレプリカ!?」

「やべっ!見つかった!!」

「さては貴様!!俺を身代わりに!?」

「ひっ!後はよろしくなアッシュ〜」

「待ちやがれ!!屑が!!」

「アストラルレイン!!!」

「「ぐはぁ!!」」

「御食事の途中で席を立つのは御行儀が悪いですわよアッシュ。それにルーク、ちょうど良かったですわ。捜していたんですのよ?あなたの分も用意してありますからたくさん食べてくださいませ」

「ぁぁ…結局逃げられないのか…」

「…何で俺までこんな目に…」

「「…ガクッ」」

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