どり

□一言にときめく5題
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3.バーカ

今日は私の彼氏、景吾の誕生日。私と景吾は違う学校。それに今日は景吾は部活だ。一緒にいられるのは夕方から。私が祝うのはそれからだ。

本当は1番始めに“おめでとう”と言いたかった。メールじゃなく直接伝えたかった。電話も考えたけど、それもちょっと嫌で…

しばらく考えて思い付いたのは、最初が無理なら最後にってこと。1番最後に祝いたいって。だから今日は景吾のお家にお泊り。ちょうど明日は休みだし、頑張ってお祝いしなきゃ!

誕生日プレゼントは買った。ケーキも小さめのものを作った。お母さんに手伝ってもらったけど、見た目は綺麗にできた。味は大丈夫とは思う。だからあとは景吾が帰ってくるだけ。

「まだかなぁ…」

景吾の部屋から外を見ながら呟く。首を長くしてという言葉通り、首を伸ばして見ていた。すると、車が敷地内に入ってくるのが分かった。

景吾だ!

会えるという嬉しさから小走りで玄関に向かう。玄関に着くと同時に扉が開いた。

「お帰り、景吾!」

そう言って抱き着くと少しだけ驚いたように抱き留められる。だけどすぐに優しい笑みを浮かべてただいまと言ってくれた。

景吾と一緒に部屋に向かう。部屋に入ると少しだけ景吾は笑った。

部屋の机はしっかりと飾り付けしていて、ケーキとプレゼントが置いてある。それを見て笑ったのだろう。

景吾にとっては貧相といえる飾り付け。それは私のみが景吾のためにするため。だから笑ったのだろう。

「忘れているかと思った」

その笑い混じりの声に少し照れながらごめんと謝る。

「1番にお祝いできなかったから、なら1番最後にお祝いしたいって思ったの。ケーキとプレゼントは先になっちゃうけど、言葉はぎりぎりに言いたいの」

そう言うと小さく喉を鳴らして笑う。そして軽く顔を持ち上げてキスをしてきた。

「なら、夜中まで待つか」

そう言ってケーキを食べようと机に近付く。それに一緒に行きながら、いろんなことを話した。



夜。ベッドの中で景吾に抱きしめられていた。そしてあと数秒で明日になる。

「お誕生日おめでとう、景吾」

そう言った後すぐに12時を示す時計の音がなる。それに最後に祝えたと知り、嬉しくなる。

「ありがとう」

その言葉にさらに笑みを深くすると、私の上に覆いかぶさるように景吾は体勢を変えた。そして額、目、鼻先、頬、口の順にキスをしてきた。

口にたどり着いたら、優しいけど深いキスをされた。それが終わった後、額を合わせる。

「遅くなってごめんね」

最後にということは景吾を待たせることになる。それは景吾にとって不本意なことだと思ったから謝ると笑われた。

「バーカ」

言葉は悪いけど、凄く柔らかい声で言われた。そして再びキスをされる。

「お前が祝ってくれるならいくらでも待つさ」

その言葉が嬉しくて私からキスをするとそのまま深く激しいキスをされた。そして甘く激しい時間に変わっていった。
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